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「WPC 2015」で新たなパートナープログラム発表、一気にビジネスの加速を図る

パートナー施策拡充で新段階へ、マイクロソフトのクラウド戦略

2015年07月22日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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API提供など技術的側面からもパートナービジネスを支援

 今回のCSP拡張では、他のクラウドサービスを組み合わせるための「API提供」、そして「パートナーポータルの整備」と、技術面からの支援体制も整えることで、パートナーが同制度に参加しやすくしているのも特徴だ。

FIXERの松岡清一社長

 Microsoft Azureのフルマネージドサービス「cloud.config(クラウドコンフィグ)」を提供するFIXERは、日本初のAzure対応CSPとして契約。世界的に見ても数少ない早期展開パートナーの1社として参加している。FIXERの松岡清一社長は、「CSPの制度拡張において、さまざまな要望を米本社に提案してきた。その結果、我々のサービスに似た画面になっているものもある」と笑いながら、「APIの提供によって、これまで当社が開発してきたツールが使えなくなるといったこともある。また、競合となるMSP(マネージドサービスプロバイダー)の参入を促進することにもつながる。だが、市場拡大期においては、競合企業の参入も歓迎。CSPの拡張は、Azureを積極的に扱うための地ならしにもなる」と語る。

 FIXERでは、今回のCSPの拡張によって、cloud.configにおいてAzureライセンスの課金および管理に加え、Azure上のコンピューティングリソースの詳細情報をcloud.configに一元的に取り込むことが可能となり、よりきめの細かいクラウドマネージメントサービスの提供が可能になるという。

 また、従来はパートナーが1年分のAzure利用権を購入し、顧客に対してはそこから利用分を差し引き請求する仕組みとなっていたが、CSPの新制度では、事前購入することなく、使用量に基づいた月締めでの請求が可能となり、パートナーの資金繰りにおいてもプラスの効果があるという。

 「(これまでは)一気に使用量が増えた場合、サービスを提供するためにわれわれが代替することがあった。だが、使った分だけあとから購入するという、まさにクラウド型の再販が可能になる」(FIXER 松岡清一社長)

「ライセンスモデルよりもOEMモデルに近い仕組み」

 日本マイクロソフトが「従来の仕組みがライセンスモデルに近い仕組みとすれば、今回のCSPの拡張はOEMモデルに近い仕組みだ」と位置づけているのも、そうした仕組みの変化が背景にある。

 再販価格は日本マイクロソフトによって設定され、CSPはOffice 365では20%、Azureでは15%のマージンを獲得できる。こうした基準が明確化されたことで、パートナーにとっては安定的な利益確保につながり、エンドユーザーにとってもわかりやすい料金設定が実現すると言える。

 ちなみに、CSPの条件としては、月締め請求の仕組みを独自に持っていること、24時間365日のサポート体制を持っていること、クラウドサービスへとアドオンできる付加価値を持っていること、単一製品ではなく他の製品へも拡張できる体制があることが盛り込まれている。

 WPC 2015においては、CSPに関するブレイクアウトセッションが39セシッションも用意され、そこからも、マイクロソフトがCSPプログラムに本気で取り組んでいく姿勢が感じられた。

 なお、そのほかにも新たなインセンティブ制度として、Office 365やEMS、Power BI、Azureにおいて、20%のリベートを提供すること、新認定制度として、Microsoft Azure Certified for Hybrid Cloudを開始し、Azureと組み合わせたハイブリッドクラウドの提案を加速させること、Office 365 E5を新たに用意し、Cloud PBXやAnalytics、Power BI、Skype for Businessなどを組み合わせて提供することも発表。これらの仕組みにより、「アップセルにつなげることができる」(米マイクロソフト Officeディビジョンのジョン・ケースコーポレートバイスプレジデント)とした。

(→次ページ、競合他社からクラウドパートナーをリクルート、拡大へ

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