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ナデラCEOはパートナーになにを伝えたかったのか?

全デバイスでのシェアは14%!マイクロソフトはチャレンジャー

2014年07月22日 09時00分更新

文● 大河原克行

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米マイクロソフトは、2014年7月14日~17日までの4日間、ワシントンD.C.で「Microsoft Worldwide Partner Conference(WPC)2014」を開催した。開催初日には、ケビン・ターナーCOOが基調講演を行ない、新たなパートナー向け施策を発表。開催3日目には、サティア・ナデラCEOが基調講演を行なった。

サプライズよりも現実性を選んだナデラCEO

 今回、ターナーCOOはDynamics CRM OnlineやAzureのオープンライセンス化の発表や、ヒューレット・パッカードの199ドルのWindows搭載ノートPCの年内発売などのトピックスを発表。これに対して、ナデラCEOの基調講演では、初公開した技術は、通話内容をリアルタイムで翻訳して会話ができる「Skypeトランスレータ」のみ。あとはすでに発表済みの技術のデモストレーションとともに、ナデラCEOが掲げた「Mobile first,Cloud first」に関する基本的な考え方を示すに留まった。

基調講演を行なう米マイクロソフトのサティア・ナデラCEO

 一般的にこうしたイベントでは、開催初日にCEOの基調講演が行なわれる場合が多く、それは過去のWPCでも同様であった。今回、開催3日目にナデラCEOの基調講演が設定されたことで、参加者の多くは、なにか大きな発表があるのではないかとの期待感が高まっていた。実際、この場でWindwos 8の発売日が明らかにされたこともあった。全世界から1万6000人のパートナーを集め、ナデラCEOが初めてパートナーに向かって発言する場であるだけになおさらだ。

 それだけに今回のナデラCEOの基調講演では、なにもサプライズがなかった内容に、多くの参加者が肩すかしを食ったといえる。

 これに対して、米マイクロソフト Windows Server,マネジメント&アプライアンス マーケティングゼネラルマネージャー マイク・シュルツ(Mike Schutz)氏は、「サティア(=ナデラCEO)の基調講演では、パートナーに対して、新たなマイクロソフトの姿勢を訴求するのがメインメッセージとなった。その点では明確な意図があった」とする。

米マイクロソフト Windows Server,マネジメント&アプライアンス マーケティングゼネラルマネージャー マイク・シュルツ(Mike Schutz)氏

 ナデラCEOが伝えたのは、「Mobile first,Cloud first」を軸とする、新体制で目指す新たなマイクロソフトの基本姿勢だ。社内には何度も示されたものであり、同社社員や、マイクロソフトを取材している記者にとってはなんら新しいものはない。しかし、パートナーに対して時間を割いて、直接、説明するのは今回が初めてだ。サプライズよりも、現実性を選んだナデラCEOらしい選択だったとえるのかもしれない。

 そのなかでも「クラウドOS」戦略の意味を、取り巻く環境の変化を詳しく説明し、パートナーにクラウドビジネスを加速することを促した点は印象的だった。これは、今回のWPC 2014を通じて、もっとも重要なメッセージだったといってよい。

ナデラCEOが特に注力するクラウドOSの戦略

 「クラウドOSは新たな時代のプラットフォームであり、パートナーはこれに向けたビジネス変革が必要である。WPC 2014では、それを理解してもらうために、多くの時間を割いた。マイクロソフトは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドの3つのクラウドを提供できる唯一の企業。クラウドOSに対する投資をこれからも加速することを理解してもらえたのではないか」とする。

 クラウドに関するパートナー向けコンピテンシー制度を一本化。さらにOffice 365に続き、Microsoft Azure、Dynamics CRM Onlineのオープンライセンス化を行ない、パートナーが3つのクラウドサービスを販売できる環境を整えてみせた。

 日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「もともと、クラウドOSのビジョンを描いたのはサティアであり、それをCEOの立場でドライブすることになった経緯がある。この戦略をもっとも理解しているのがサティア自身である」とする。

(次ページ、すべてのデバイスではわずか14%のシェアしかない)


 

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