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国産クラウドのチャレンジ!「IDCFクラウド」徹底解剖 第1回

失敗から学んだ内製化への道、ネットワークのこだわり、500円クラウドまで

これが僕らの生きる道!IDCFクラウドの真価を語り尽くした

2015年06月30日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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CloudStack入れた頃はどたばただった(笑)

大谷:北九州のオープン直後、2009年にはパブリッククラウドに参入するわけですが、当初はHyper-Vベースで、しかもクラウド事業者向けだったんですよね。

西牧:データセンターもずっと伸び続けるわけではない。データセンターが伸びている時に、クラウドサービスの開始を決めたんです。

:国際通信にしろ、インターネットにしろ、インフラの価値はどんどんゼロに近づいていく。今までのビジネスモデルを当てにしてはダメということは、肌で感じていました。だから走りながら、次を考えるというのはDNA的に残っている。今までの価値を継続しながら、シフトしやすい分野、この先価値になりそうなところに投資していく必要があった。

大谷:考えてみれば、1990年代後半から、それの繰り返しでしたからね。

:そう。でも、新しいことが成功するかは、ぶっちゃけやってみないとわからない。実際、レンタルサーバーをやったこともあるんだけど、自分たちが慣れていなかったというのもあって、ビジネスとしてはうまくいかず結局サービスをたたんでしまった。でも、その後に後継のクラウドサービスを検討し始めたタイミングで、2011年にCloudStackのような技術をいち早く導入できた。

西牧:でも、当時はどたばたでしたよ(笑)。誰も経験者がいない中で、サービスを組み合わせてしつらえるわけだけど、なかなかうまく動かなかった。

「当時はどたばたでしたよ(笑)。なかなか動かなかった」(西牧氏)

大谷:それこそ6年前なんて、クラウドの基盤技術は完成度も高くなかったですし。

:そうそう。当時は素のハイパーバイザーを提供するしかなかった。

西牧:そこで苦労して、CloudStackでさらに苦労すると。

:今まではサーバー単位での運用・管理だったんだけど、アプリの世界に移ってきた。だから総合的なコンピューティングでなにをできるか考えた。もはや1社の中ですべてが完結する時代じゃないし、アプリ同士、データ同士がつながって、初めて意味を持つので、そのためになにができるかですよね。日本の事業者同士を集めて、スマホ時代を見据えた「Cloud IX」を作ろうと研究活動をやってますしね。

内製化を取り入れたIDCFクラウドは歴史が変わった瞬間

大谷:もともと「NOAH」ブランドで提供していたサービスも、昨年「IDCFクラウド」として仕切り直しましたよね。いろいろ試行錯誤なさったようですが。

西牧:はい。当初数年間は既存サービスを組み合わせるという方法で、確かにそれなりにお客様もついたのですが、あるとき基盤のバージョンアップが必要になった。でも、フタを開けてみたら、バージョンアップがとてつもなく大変なことに気がついた。1年以上かかるぞと。

大谷:クラウド業界は速いですから、それは厳しいですね。

西牧:結局、よくわかってなかったんでしょうね。こんなに苦労するのであれば、自分たちで作り直しちゃったほうが速いと考えたのが、2014年の頭くらいです。

でも、短期間にやらなければまずいというので、寺門という開発部門のエンジニアをリーダーにして、ユーザーインターフェイスから作り始めたんです。結局、寺門のクラウドサービスを自ら作り上げるという想いと、良きパートナーにも巡り会えて、なんとかサービスをラウンチできた。1日単位ではなく、数時間単位でなんかしらの決断が必要というタフな状況で、本当にリリース直前までカイゼンを進めていた。最後の緊迫感はすごかったですよ。テストも社員の半分近く動員したし、社内では奇跡と呼ばれています。

「リリース直前の緊迫感はすごかったですよ。社内では奇跡と呼ばれています」(林氏)

:それまでは、“既存のもの”をいかに品質良く組み合わせて、お客様に提供し、運用で満足してもらうというのがベースにあった。でも自分たちのものじゃないと、バグは直せないし、ユーザーインターフェイスも修正できないし、価値が出せないんですよ。だから内製化に踏み切った。

西牧:もちろん、今でも数多くの商用サービスを使っていますけど、ユーザーインターフェイスや課金ロジック、API叩くところなどはほぼ内製化しています。特に、ユーザーインターフェイスはとにかくシンプルをコンセプトに、フォントからマーキングから、画面遷移まで本当にこだわっていた。だから、お客様から「クール」とか、「使いやすい」と言われ、中の人間は本当に喜んでいる。苦労もあったので、感激はひとしおでしたね。

:長らく通信事業者だったので、営業がいて、サポートがいて、エンジニアもいた。でも、お客様とは距離が遠かったのも事実なんです。でも、IDCFクラウドをオープンした時、みんなでツイッターを見たときに、エンドユーザーと開発メンバーの距離が一気に縮まった。いい意見も、悪い意見も上がっていたんですけど、ウルッと来ているやつもいたし、すぐに改善しようと考えるエンジニアもいた。とにかく感度が上がったし、IDCフロンティアとしては歴史が変わった瞬間かなと思っています。

大谷:たとえば、さくらインターネットはクラウドの内製化を推し進めて、エンジニアにフォーカスしています。田中社長とかも「運用のエレガントさ」みたいな価値を追求していると話していますが、それとは異なる方向性ですか?

:田中社長がトップエンジニアですし、エンジニアのニーズを自ら理解されてるんですけど、僕たちはそこまで追いついているわけではない。その代わり、UI/UXのところで差別化できないかなあと。

西牧:さくらインターネットさんは日本のエンジニアの心を理解したサービスを作れる企業だと思うし、うちもそうなりたい。

:なりたいですねえー。

西牧:それに加えて、うちはオンプレミスとクラウドをつなぐハイブリッドクラウドの世界で価値を提供したい。あと、通信事業に長らく携わってきたこともあるので、ネットワークに関しては絶対的な自信を持っている。なので外資系クラウドとは違うサービスができると信じています。

「外資系クラウドとは違うサービスができると信じています」(西牧氏)

(次ページ、全体最適のためにネットワークにはこだわる)


 

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