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慶応大学大学院の教授も交えて、攻殻機動隊のテクノロジーについてガチ討論

攻殻の世界は実現できる? 神山監督や冲方氏がアツく語る!

2015年06月23日 18時47分更新

文● 八尋/ASCII.jp

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Section1 電脳(Cyber Brain)、人工知能(AI)

Section1 電脳(Cyber Brain)、人工知能(AI)

 続いてのセクションは、Section1 電脳(Cyber Brain)、人工知能(AI)について。

冲方 「テーマが大きすぎてどこから語ればいいかわからないですが(笑)素子の電脳区間については、以前電脳空間と現実空間をどこまで変えて描くかといのを考えました。以前までは変えることが普通だったのですが、今回はあまり変えなくていいやと思いました。視聴者も分かってくれると思ったので。もう一つは、素子のキャラクターを表現するために、電脳空間はシリーズのはじめでは素子自身しかわからない閉鎖的な空間として描かれていたのですが、仲間が増えてくるたびに部屋ができて椅子が置かれて、人が見てもわかる空間になっていく空間にしていきました。電脳空間の特性として、その個人のパーソナリティーが現れるように描いています。人工知能についても、音質を変えるなどの区別をしなくてもいいやと思いました。こちらももう視聴者はわかっているだろうと思いましたので」

攻殻機動隊 新劇場版に登場する電脳空間

南澤 「自分達が理想としている体験を1つの形にして、ネット上で公開するなど、自分の世界に人を呼び込むというのは既に始まりつつあって、実は自分達の好きな電脳というのをそれぞれクリエイションしているのかもしれないです。一方、AIに関してはロジコマに素子がコミュニケーションエンジンを積んであげるという部分が凄く好きで、AIもやはり世界とつながるためのインターフェースとしての身体は必要で、ロジコマだったりタチコマだったりという身体を持っているのかなと。会話ができるようになってキャラクター性が生まれて、コミュニケーションが生まれ、体験して学習してAIそのものが成長していくという、体や会話を得たことでAIが成長するという概念が好きですね」

── ロジコマやタチコマというのはたくさんいますが、たくさんいる必要性とは何でしょう?

冲方 「便利だからです(笑)。ARISEでは、ロジコマは『ロジスティクス』というしゃべって歩けるでかい台車という位置づけなんですけど、主人公たちが発展していく過程として、備品(ロジコマ)が充実していくというのを画的に見せるために増えていったということです」

── それぞれのロジコマのAIは経験を共有しているんでしたっけ?

冲方 「基本的には並列です。個体が増えると、学習することに差異が出るので、個体ごとに学んだことをトレースするという意味で並列するという表現にしています」

── あるロジコマだけ差異が生まれて皆を支配したりはしないんですか?

神山 「要は、そうならないためにミッションが終わった後に並列化して同じ教養レベルに戻して、全体の底上げをしていくんです」

稲見 「AIは攻殻機動隊の世界に近づくためには、まだ不気味の谷を越えられていない気がします。攻殻機動隊では不気味の谷を越えていることを前提で描かれていますので。今可能性があるのは、声色を変えるというよりは、コミュニケーションをとることで対象の存在を信じられる方法があるので、それで不気味の谷をスキップすることはできるかもしれないです」

神山 「タチコマみたいにペットみたいな姿をしていると、不気味の谷に陥らないで済むんです。自動車もそうなんですが、なんとなくここが顔かな? という部分がでてくるじゃないですか。例えば、iPhoneにSiriが出てきましたが、対話以外に人工知能が経験値を上げる方法はまだないんです。触ったり対峙だったり、物理的移動をしてみるということを経験させることで、より人間に近づくのではないだろうかと、タチコマを考えている時に思っていました」

神山 「電脳というのは、携帯電話からスマホになった時点で、ある種第1段目の電脳化は完了してしまった気がするんです。脳が直接ネットワークに繋がるのが電脳の概念で、まだその技術はないんですが、スマホで電車に乗っている時に複数の人と会話をするなどがリアルに起きているわけですから。そこに次の段階で、AIがどのように介入してくるのかというのは気になりますね。支援型のAIというのがスマホから外部に行くのではないかとも考えています。例えば車などは未だにスタンドアローンなんですけど、AIが搭載されれば、駐車場に置きっぱなしになっている車が移動先に勝手に来てくれるなどになってくれれば、攻殻機動隊の世界にAIの技術は近づいたといえますよね」

冲方  「主人が酔っぱらって帰ってこないのを自発的に迎えにいってくれるとかいいですよね」

南澤 「自動運転の技術はかなり進んでいて、公道を走るのはまだですが、自動車メーカーの敷地内では可能になっているなど、開発は既に始まっています。AIが物理的な機能などで世界に影響を与えるというのが、重要なファクターになってくるのではないかと思います」

稲見 「経験は共有できるということが、AIの進化が人間より早く加速する要因になるのかなと。自分の持っている車が自分のことを知るのは可能だと思うんですが、そこからさらに駐車場の状況なども含めて、何万、何千という他の車とも情報を共有するとなると、今までの生物にはなかった進化の仕方になりますから」

神山 「1夜にして人間を超えてしまうかもしれないですね……」

(次ページ「Section3 都市(Smart City)」へ続く)

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