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慶応大学大学院の教授も交えて、攻殻機動隊のテクノロジーについてガチ討論

攻殻の世界は実現できる? 神山監督や冲方氏がアツく語る!

2015年06月23日 18時47分更新

文● 八尋/ASCII.jp

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Section3 都市(Smart City)

Section3 都市(Smart City)

 最後に、都市(Smart City)とエネルギーについてトークが実施された。

神山 「STAND ALONE COMPLEXの世界で自動車に関しては、ガソリン車が残っているだろうと考えていました。未来と現実の差異を出すために、運転者がネットに繋がらないと自動運転にならないという形で描いていました。自動運転に関しては、攻殻機動隊の世界よりも速いスピードで進化しているかもしれないですね」

神山 「今は所有する価値観で車を購入していると思うのですが、もし自動運転が進むと、所有する理由がなくなってくる可能性があるんです。そうなると街のデザインも変わってくるのではないでしょうか。今生産された車のなかで稼働していない車は大量にあります。これは凄くもったいないので、殆どの車が稼働している状態を作り出すには、自動車をレンタルするなど共有が必要になってきます。そうなった時にラグジュアリーでコンポータブルな自動車にするだろうかという問題がでてきます。また、それに合わせて街の体系も変わってくるんじゃないだろうかと、攻殻機動隊を考えていた時と今の現状を照らし合わせて考えると、そう思いますね」

南澤 「高速道路などは自動運転にしようという動きもありますよね。後、義体化した時に、自分の義体を物理的に移動させる必要がどこまであるんだろうと思いますよね」

神山 「移動はリスクですからね。まだまだ全身義体の人は数%しかいないという描き方をしていましたし、ドライブする喜びを完全に捨てることはあるのかということも考えました。また、80年代や90年代に、アメリカのパイロットが無人戦闘機を作るということに対してものすごく反対することがあったんですが、人間の命が一番大切なので、結局無人化に切り替わりました。その考え方が、民間の自動車でも適用されるのではないかと思います」

── 今の話は、ドローンとは繋がるんですか?

神山 「無人偵察機や戦闘機というのはSFの中で描いていたんですけど、まさかこれだけ急スピードで民間にドローンという形で普及するとは思わず、ノーマークでした。攻殻機動隊でもドローンは描いてないので」

冲方 「私はルンバが出た時が衝撃的でした。あれもある意味ドローンじゃないですか。あれを作中に出すと、何が新しくて何が古いかがわからなくなってしまうんです」

神山 「書き手としては、むしろ攻殻機動隊の世界観でいうと古いものに当たるんですよ」

── ちなみに、攻殻機動隊の中ではエネルギーってどうなっているんですか?

神山氏も冲方氏も物語を作るうえでエネルギーの定義については苦労したという

神山 「じつはエネルギーというのは逃げたいテーマなんですよね」

冲方 「僕も逃げました」

稲見 「電脳化などが進んでいく時点で、実は一番コストがかかるのはものを動かしたり、登ったりといった物理的な仕事をすることなんですが、そのコストはどんどん減っていくと思います。その時に初めて情報とエネルギーが繋がると思います。電脳世界を駆動するコンピューターなどに向かっていくのでないでしょうか。もしかすると未来の都市というのは、物理的な都市ではなく、情報と情報処理のエネルギー源が一体化した、今我々が考えている都市とは違うものになっているかもしれないですね」

南澤 「むしろネットの接続の速さが優位性を決める都市になるかもしれないですね」

稲見氏や南澤氏によると、都市のインフラの概念が変わってくるかもしれないという

神山 「そうなったときに、エネルギー源は新しいものになるのか、今までの原子力や化石燃料のようなエネルギーに頼るのか、どうなるんですかね?」

南澤 「最近だとテスラが家庭用準電池を出して、それぞれで必要な所でまかない、1つの巨大なシステムとして動くのではなく、分散型の小さなコロニーがたくさんできて、それがネットワークで繋がるというのが1つのトレンドになってきている気がします。そうなってくると、エネルギー的に考えると自動車で移動するというのは凄くコスパが悪いですよね。そのうち移動は贅沢になるかもしれません」

稲見 「本当にお金持ちの人だけがリアルな世界で移動するようになるかもしれないですよね」

冲方 「攻殻機動隊 ARISEでは、旧市街と新市街を分けています。旧市街では、インフラが整っていないので、ローテクを使わなくてはいけない。新市街では道路に電灯や標識はもうなくて、中央のコントロールシステムが各車に情報を送ったり干渉したりすることで、交通渋滞がない世界として描いています。SF的な何かを付け加えるより、なくなることのほうがリアルな未来になると考えたんです。でも、それをハッキングされると大変なことになりますよね」

冲方 「エネルギーに関しては、一番どうしようと思ったのは、義体はなぜ重いのかという部分で、これは多分バッテリーだろうと考えました。生身の人間とサイボーグでの生活環の違いは、積載量の違うエレベーターを用意しなくてはいけないなど、突き詰めていくどんどん煩わしくなっていくのでかなり割愛していますが、隠れテーマとしてチラホラ作中にも出てきます」

全身義体の草薙素子とほぼ全身義体のバトー

神山 「スマートフォンでも1日ごとに充電しなくてはいけないですからね。義体はバッテリーだと考えるとどれくらいもつんでしょうね。人間以上出力を出そうと思ったら、生体発電では厳しい気がしますよね」

冲方 「生体発電とか、定期的に充電しているのか、食料がエネルギーになっているのかなどいろいろ考えましたけどね」

稲見 「SSDやHDDの容量は増えていきますが、バッテリーは違って直線的なんですよね。そう簡単には進歩しないという意味でも義体が重いというのはリアリティーがありますね。もし今やるとしたら、磁気共鳴を使った給電や、乗るたびにチャージするエレベーターとかですかね。未来の都市機能というのは、エネルギーの配信機能などのインフラが必要になってくるかもしれないですね」

南澤 「今EVを使うにしても充電ステーションがないといけないなど、そういうのが都市のインフラとしての質を決めるのかもしれないですね」

 

稲見 「充電用のドローンだとかも出てくるかもしれないですね」

一同 「あーなるほど!」

(次ページ「技術が凄い速度で進む中、フィクションで“どうやりかえすか”を考える」へ続く)

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