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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第68回

CASIO「MGC-10」、開発秘話

2015年06月23日 09時00分更新

文● 前田知洋

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パイロット版はAppleのwidgetで作成

 まず、社内でプレゼンをしてもらうためのパイロット版(デモ機)があったほうが良いと考え、Appleのwidgetでデモプログラムを製作しました。widgetは、ダッシュボードで知られている、HTML+CSS+JavaScriptで開発できるミニアプリケーション。専門的なプログラムの開発環境がない筆者(マジシャンです。笑)にとって、Appleが発表したたばかりのwidgetはピッタリ。一夜漬けでJavaScriptを勉強して、すぐに6つのマジックをCASIO社に提案しました。

JavaScriptで書かれたデモプログラム。開発段階のため時計の外観は異なります

 社内の稟議も無事通り、メモリの制限や操作性などを検討したのち、最終的にマジックを5つに絞りました。採用されたのは以下の通り。

搭載されたマジック
◯相手が心に思ったトランプを当てる
◯頭の中の数字を当てる
◯卓上の道具を探す
◯6つのコインから最後に残るコインが予言されている
◯自由な4桁の数字を当てる、占いマジック

 最先端のスマートウォッチに比べると、モノクロのシンプルな画面でのシンプルな5つのマジック。この原稿を書くために、当時を懐かしみながら、『CASIO MGC-10』を手に取りました。

 ちなみに、メディアなどで紹介される「世界初のマジック機能搭載の腕時計」。おそらく、文字数の問題だと思いますが、正確には、当時のプレスリリースや取扱説明書にあるように『世界初の「クロースアップマジック機能付きのデジタルウォッチ」』。

 10年前のことなので限定1000個だったか、2000個だったか忘れましたが、クリスマスシーズンが重なったこともあり、すぐに完売。ご購入いただいた皆様に感謝申し上げます。

 「樫尾俊雄発明記念館」での多機能化時計の歴史を紹介する特別展示。たくさんの歴史的な発明が公開されています。ご興味のある方は、ぜひご来場いただければ幸いです。日本の計算機、デジタル時計を多大に発展させた発明家、樫尾俊雄さんは、じつは筆者の母校の大先輩でもあり、勝手に嬉しく思っています。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 3.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。

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