モバイルプラットフォーム「Firefox OS」にかけるMozillaだが、登場してそろそろ2年になるにも関わらずシェアに反映されない状態が続いている。そんな中、Firefox OSの父ともいわれるCTO、Andreas Gal氏が同社を去ることを決意した。
Andreas Gal氏は6月5日、自身の個人ブログ(関連リンク)でMozillaを退社することを報告した。7年間、Mozillaに勤務したGal氏の最大の功績は、「Firefox OS」だろう。2011年7月、当時リサーチ担当ディレクターを務めていたGal氏は“ウェブ向けのスタンドアローンのOS”として「Boot2Gecko」(B2G)というプロジェクトを発表、これが後のFirefox OSとなる。
Mozillaはウェブブラウザーでのシェアが振るわない状態が続いているが、Firefox OSは単なるサブプロジェクトではなく、”オープンなウェブ”を打ち立てるMozillaの戦略的製品となっている。Gal氏が2014年の春、CTOに就任したことがMozillaにおけるFirefox OSの重要性を示している。
それだけではない。ここ数年Mozillaを支えてきた主要幹部の退任が続いている。2013年に約3年CEOを務めたGary Kovacs氏が退任、その後2014年春にCTOからCEOに着任したBrendan Eich氏は同性婚に反対した過去があることから辞任に追い込まれた(CEOにはその後、Chris Beard氏が就任している)。
2015年に入ってからも収束せず。Firefox OSリリース時のプッシュに大きく寄与し、最後にはFirefoxブラウザー担当バイスプレジデントを務めたJonathan Nightingale氏がMozillaを去った。そして、4月にはMozillaのバイスプレジデントを務めたLi Gong氏、5月にはモバイルのパートナーエコシステム担当ゼネラルマネージャー兼バイスプレジデントのRick Fant氏も、勤務約3年でMozillaを去っている。
Gal氏をはじめ、これらの人材流出がFirefox OSの開発は事業の今後にどのような影響を与えるのか、Mozillaにコメントを求めたが回答は得られていない。
なお、Gal氏はブログで、Mozillaを退社後モノのインターネット(IoT)関連のベンチャーを立ち上げるとだけ記している。