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末岡洋子の海外モバイルビジネス最新情勢 第140回

第三のモバイルOSはどれも苦戦 新OSはやはり難しいのか?

2015年12月02日 15時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 モバイルOS「Sailfish OS」を開発するフィンランドのJollaが一時的なリストラを発表した。ベンチャー企業の資金面での難しさを露呈したものとなったが、端末登場から2年が経過したJollaから出された「代替OSは簡単ではない」という文言は印象的だった。iOSとAndroidの独占に挑戦するのはJollaだけではない。Mozilla(Firefox OS)、Canonical(Ubuntu)などがあるが、AndroidとiOSの2極集中は進む一方だ。

IDCのサイト(http://www.idc.com/prodserv/smartphone-os-market-share.jsp)より。Android/iOS以外の第三のOSのシェアは合計しても縮小しているのが現実だ

Sailfish OSのライセンス事業が難航するJolla

 Jollaが11月末に発表した財務危機は、クラウドファンディング形式で資金調達したタブレットの部品調達などのアクシデントが契機となり、主要な投資家が投資ラウンドから手を引いたということのようだ(関連記事)。

 同社は今年2月末のMobile World CongressでSailfish OSの最新版を発表し、今後OSライセンスを強化していくとしていたが、今回の件は、資金が底をつきつつあること、Sailfish OSのライセンスをはじめ事業が軌道に載っていないことなどがうかがえる。現在の状況は“一時的”としているが、スタッフが半減すれば、開発や営業にさらなる支障が出そうだ。

2013年末に発売されたJollaスマホの第1弾

 共同創業者兼会長のAntii Saarino氏の公開書簡では、「大手や小規模の両方を含む潜在顧客と話をしている」とのことだが、これはMWCのときと同じだ。MWCから現在まで、ライセンス面で明らかになっている進展はインドのIntex Technologiesとの提携のみ。大きな発表はなく、7月にJollaはライセンスフォーカスにあたっての組織改編を発表している。

 Sailfish OSを担ぐデバイスメーカーそして通信キャリアが少ない中、まだ小さなコミュニティーに頼りながらJollaを広げていくのは簡単ではない。通信キャリアとの関係、それにマーケティングがものをいうモバイル業界で、体力のないベンチャー企業が戦うことの厳しさを表していると感じた。

 Jolla、そしてこの後に触れるUbuntuがフォーカスしていたのが中国市場だ。しかし中国市場は、Xiaomiなどの国産ベンダーが台頭し、Samsung優位だった勢力図をあっという間に塗り変えてしまった。国外メーカーではAppleが一人勝ちといってよい強さを見せている。両社にしてみれば計算が狂ったのかもしれない。

Ubuntuはロシア上陸、Mozillaはローエンドからシフト

 では、UbuntuのCanonical、Firefox OSのMozillaはどうだろうか。

 Canonicalの動きとしては、Ubuntu Phoneプロジェクトを立ち上げたCristian Parrino氏が9月にUbuntuを退社している点が気になる。Parrino氏は起業経験があり、辞める理由はグリーンテック分野の新会社立ち上げのようだが、Parrino氏の描いていた戦略(アーリーアダプター主導によるコミュニティー作り、その後マス普及)は道半ばどころか、これからというところだった。

 その後Canonicalは11月、Ubuntuベースのスマートフォンをロシアで提供することを発表した。Ubuntuベースのスマートフォンを製造するスペインBQの「BQ Aquaris E4.5 Ubuntu Edition」「BQ Aquaris E5 HD Ubuntu Edition」をロシアで提供するもので、Scopesにはロシアユーザー向けに「VKontakte」(ロシアのソーシャルネットワークサービス)、「Yandex」(検索サービス)、「Mail.Ru」(ウェブメール)などを含むという。

 一方のMozillaも重要人物が抜けている。6月にMozillaを去ったCTOのAndreas Gal氏だ。Gal氏はFirefox OSの取り組みを共同で立ち上げたと言われている。その前にはバイスプレジデントを務めたLi Gong氏が辞めている。Firefox OS関連で表向きの顔として話すことも多かった人物だ(関連記事)。

 Mozillaは同時期より、単なる安価なスマートフォンから、ユーザー体験にフォーカスするIgniteイニシアティブを進めている。これまでのフォーカスだったローエンドから上位へのシフトとみてよいだろう。MozillaのCEO、Chris Beard氏はIgniteイニシアティブを告げる社内メールで、2014年のMWCで発表した25ドルスマートフォンの効果があまりなかったとも記している(関連記事)。

 Mozillaの最近のニュースといえば、11月半ばにFirefox OS 2.5 Developer ReviewをAndroid端末上で動作するアプリケーションパッケージとしてリリースしている。Androidユーザーが容易にFirefox OSを試せるようにというもので、効果が注目される(関連記事)。

Android上でアプリの形でFirefox OSを動作させるパッケージが登場した

 Firefox OSのローンチパートナーであるスペインの通信キャリアTelefonicaは、「CyanogenMod」ベースのスマートフォンを欧州で発表した。迷惑電話を防ぐ「Truecaller」などのプライバシーやセキュリティー、音楽、生産性などの機能を加えたもので、メーカーはスペインBQ、スペインでは209ユーロで販売する。同社は南米ではFirefox OSを押しているが、欧州での安価ラインとしてCyanogenModラインを位置づけているようだ。


(次ページでは、「“その他”のモバイルOSは合計してもシェアは縮小」」)

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