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Mozillaの将来はモバイルに、「Firefox OS」戦略を新COOが説明

2014年06月14日 22時00分更新

文● 末岡洋子

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 Mozillaの「Firefox OS」スマートフォンがスペインなどの一部市場に登場して1年が経過する。ここまでは助走期間。今年はローエンドを切り札に、起爆につながる重要な年になりそうだ。6月13日まで中国・上海で開催された「Mobile Asia Expo 2014」で、4月にCOOに就任したMozillaのLi Gong氏に話を聞いた。

25ドルFirefox OSスマホを手にするLi Gong氏。日本語を勉強したこともあるという。現在は北京と米国を行き来する生活だ

現在は1200人規模の組織になっているMozilla

――COOに就任されました。COOの仕事について教えてください。優先順位ととらえていることはなんでしょうか?

Li氏(以下、同) 会長とCEOをサポートし、会社が円滑に動くように、戦略に沿ったオペレーションをするのが私の仕事です。そのため、Mozilla社員の80%を私が直接マネジメントしています。部門としては、FirefoxブラウザーとFirefox OSを開発するウェブプラットフォーム部門、Firefox OSを搭載するOEMの窓口となるモバイルデバイス部門、アプリストアApplication Market部門、クラウドサービス部門です。これに、台湾と中国の子会社のCEOとしての任務が加わります。

 優先順位でNo.1なのは製品戦略です。次に人と予算の両方でリソースの配分をどうするかです。私は立ち上げ時からMozillaに所属していますが、7年前は約70人の組織でしたが、現在では1200人がMozilla社員として働いています。大企業ではありませんが、企業としてどうやって進んでいくのかのマネジメントやオペレーションが大切になってきました。

Mozillaブースにて、Firefox OSスマートフォンがずらりと並ぶ

――Mozillaのポジションを確立したブラウザー分野で、GoogleのChromeが好調でFirefoxをしのぐ勢いです。ブラウザー市場をどうみていますか?

 Internet Explorer(IE)の独占打破に向けて我々がFirefoxを開始した当初と比べると、ブラウザー市場は大きく変わり、競争が激しくなりました。これはMozillaが望んでいたことでもあるのですが……。Mozillaはこの市場で勝ちたいが、Firefoxのシェアは増えていないし、むしろ減っている市場もあります。ここではIE、Chrome、Safariなどと戦っていきます。

 戦略としては、PCブラウザー市場におけるMozillaの存在感は大きく、まずはこの地位を維持して製品の改善を重ねて競争力をつけていきます。デスクトップとモバイルの両方でGoogleがトップです。これはAndroidが関係しています。また、Safariのシェアが伸びているのはiPhoneやiPad人気が大きく関係しています。我々はAndroid向けに「Firefox for Android」を開発しており、Google Playのブラウザー部門でナンバー1です。今後もモバイル向けブラウザーの開発を続けますが、それ以上に大切なのはモバイルプラットフォームだと考えます。

 Mozillaの成長戦略で最も重要なのはモバイル、つまりFirefox OSです。モバイル分野でMozillaはOSプレイヤーとなれば、強いポジションを得ることができます。モバイルプラットフォームでのMozillaの地位確立は最重要課題です。

――iOSやWindows Phone向けにモバイルブラウザーを開発する予定は?

 現時点では両方とも計画していません。iOSはアップデートが柔軟にできないなどの理由からです。

 Mozillaの将来はブラウザー企業とは思っていません。我々の将来はFirefox OSです。ブラウザーよりもOSの方が、業界にインパクトや影響を与えることができます。実際に、AppleはiOSを通じて、GoogleはAndroidを通じて影響を与えています。PCが主流の時代にMicrosoftはWindowsでそうしてきました。ブラウザーの開発を止めるということではありませんが、MozillaはFirefox OSで戦います。

既存のモバイルプラットフォームは
AppleとGoogleだけに利益がある

――FirefoxとFirefox OSは戦略として密に連携していて、Mozillaはプラットフォームを目指すということですね。AndroidとiOSがある中で、ユーザーがFirefox OSを選ぶ理由は? ユーザー、開発者、OEMに対するMozillaの優位性は?

 モバイルは特殊な世界で、スーパーで果物を選ぶ、ショップでPCを選ぶのとは違います。ユーザーの前に、モバイル業界がFirefox OSやMozillaを選んでもらう必要があります。そうやって初めて、ユーザーはFirefox OSスマートフォンを選択肢の1つとして検討できます。

ブース内にはさまざまなFirefox OS端末が。左はZTEの最新機種「ZTE Open II」で間もなく発売予定、右は「Alcatel Fire E」

 業界からの支持という点では、現在のiOSとAndroidでメリットを得るのは、AppleとGoogleしかいないといってよいでしょう。FoxconnはiPhoneを製造していますが利益は非常に低い(FoxconnもMozillaとの提携を発表している)。

 キャリアを見ると、コンテンツやサービスなどのダウンロードや購入はあっても自分たちは利益を得られない――パイプでしかない。そのコンテンツやサービスでも、地図や音楽などAppleとGoogleが進出しているものは競合が難しい。このような独占状態から、業界の多くが自分たちも利益を得られる新しいプラットフォームを望んでいます。

 2つ目に、Androidの過ちを回避したいという声があります。第3のOSに望まれるものは、中立性とオープン性です。Windows Phoneが離陸していないのは、Googleの立場がMicrosoftに変わるだけという危惧からで、TizenでもSamsungがその立場となります。

 先にビジネス上のメリットを上げましたが、技術的にもFirefox OSはウェブ標準で独自のAPIはありません。ウェブは新しいものではなく、古く、しかも最大のプラットフォームです。iOSやAndroidよりも大きいのです。

 このようなことから、Firefox OSは業界の支持を得ているし、さらなる支持を得られると信じています。


(次ページでは、「Firefox OSスマホの戦略について」)

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