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ヘッドフォン祭 2015 春 第1回

歴代最高ハイレゾ機「AK380」をAstell&Kernが国内初公開

2015年05月17日 09時00分更新

文● きゅう

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AK240から明白な進化を感じさせる、音質と機能

AK380を手に持って紹介する佐々木さん。

 発表会には、ゲストコメンターとしてMusic TO GO!の運営で知られるオーディオライターの佐々木さんが登壇。発表に先行してAK380を使い込んだ感想を交えながら、その特徴を紹介した。

 まず、AK240と比べて、AK380は大型化したものの、回路設計にも余裕が出て、音質が非常によくなったとコメント。さらに「AK240はシーラス・ロジックが10年前にリリースしたDAC ICを利用しており、そこが不満点のひとつだったが、AK380では去年発表されたばかりの新製品を採用し、フェムクロックとの組み合わせで、4割ぐらいのジッター低減ができているのではないかとAKの開発陣も言っている」とした。

旭化成エンジニアリングの佐藤さん

 佐々木さんとともにゲストで登壇した、旭化成エンジニアリングでオーディオ・マイスターを務める佐藤友則さんは、VELVET SOUNDアーキテクチャーを採用した、AK4490の特徴のひとつに、帯域外ノイズが非常に低く、ひずみ特性を小さくできる点があるとした。従来は数十kHzから急峻に増えていた帯域ノイズが、200kHzの領域までフラットで非常に良質だという。

 また、デジタルフィルターも32bit精度で開発されているので、仮に24bitのデータを扱う場合でも、24bitでは誤差として切り捨てられていた部分をそのまま残せるとした。AK4490には、インパルス応答の設定を変えることで、音質を変更できるデジタルフィルターが用意されている。

 AK4490は昨年発表された比較的新しいチップだが、AKMのDAC ICでは据え置きのSACDプレーヤーを中心に「AK4495」というチップがよく用いられている。こちらは4490に比べて1.5倍の消費電力となるが、AK4490は高音質を保ちつつモバイルに適した低い消費電力を目指したチップであるとした。

帯域外ノイズの少なさは大きな特徴。写真のグラフでは赤線がAK4490、青線が従来DACとなりノイズの少なさがわかる。

 ヘッドフォン祭に展示されていた実機にはまだまだ音質改善の余地があるとのことだったが、実際に試聴してみると、関係者が口を揃えて言うように、十分に高音質だったAK240のクオリティーをしのぐ正確性、音の安定感、そして力強い低域の表現力があることに驚かされる。これはイヤフォン再生はもちろんだが、スピーカー再生になるとよりいっそう意識された部分だ。「ポータブルとして最高のものを提供し、大きなシステムへの拡張もできる」。AK240、そしてAK500Nで片鱗が示されたAKシリーズの方向感がAK380の登場で、よりいっそう鮮明になった印象だ。

Astell&Kernのスピーカーと真空管アンプを使ってデモ。

 最後に、AK4490はスペック上は11.2MHzのDSDにも対応するようだが、AK380が現状で公式にうたっているのは5.6MHzまでとなる。最近では11.2MHzのDSD音源の配信も始まっており、再生できるようにしてほしいところだが、現状ではCPUパワーなどの関係で、いくつかのハードルがあるとのこと。この点には難しさもあるのだろうが、過去のAKシリーズではファームウェアアップデートなどで機能を積極的に拡張してきた経緯もある。今後の展開に期待したい部分だ。

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