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REDEFINEの次へ!EMC WORLD 2015レポート 第3回

メモリに迫るパフォーマンスを実現するDSSDもいよいよ降臨

ViPRオープンソース化、ScaleIO無償版から見える新しいEMC

2015年05月07日 08時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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EMC WORLD 2015の3日目はエマージングテクノロジーに関しての基調講演が行なわれた。ViPRのオープンソース化やScaleIOの無償版提供などの施策が発表されたほか、PCIe接続型のフラッシュアレイ「DSSD」も初めてお披露目され、新しいEMCを見せつけた。

ViPRオープンソース化で開発や利用を迅速に

 3日目の基調講演に登壇した米EMC エマージングテクノロジー部門プレジデントのCJ・デザイ氏は、スケールアウト、ビルトインアナリスティック、Software-Defined Storage(SDS)、クラウドアウェア、オープンソース、次世代フラッシュなどエマージングテクノロジー部門でカバーする範囲を紹介した。

米EMC エマージングテクノロジー部門プレジデントのCJ・デザイ氏

 具体的な製品としてはデータレイクを構成するIsilonとECS、SDSを実現するScaleIOとViPRなど。デバイスの増加と多様化、ハードウェアからソフトウェアへの移行、IoTやビッグデータの勃興、開発や実装手法の進化など、市場の迅速な変化に対応し、新しいビジネスを創設するのがエマージングテクノロジー部門のミッションだという。

 今回の大きなトピックは、会期中に発表されたSDS「ViPRコントローラー」のオープンソース化だ。ViPRはマルチベンダーのコモディティストレージをサポートし、SDSによるストレージのデプロイや拡張を実現する。EMCは「CoprHD(カッパーヘッド)」と呼ばれるオープンソースのViPRコントローラーを提供しつつ、上位のデータサービスで付加価値を提供していく。

ViPRコントローラーはオープンソース化。EMCはオープンソース版の「CoprHD」を提供する

 この背景には、エンタープライズでの開発手法がコミュニティと連携したオープンソースに進んでいる現状がある。実際、ViPRのユーザーからもベンダーロックインを排除するため、オープンソース化の声が挙がっていたという。「オープンソースはもはやリスクではなく開発モデルだ。コミュニティには製品のイノベーションを起こして欲しい」とデザイ氏は語る。

 もう1つはSDS分野の伸張だ。「すでにストレージ全体の42%がコモディティ化している。これはベンダーの売上の10%に上る」とデザイ氏は指摘する。非構造化データの増大の中で、こうしたコモディティ化とSDSの利用は伸張。こうした中、SDSの利用を促進し、ソフトウェア開発を迅速に進めるべく、オープンソース化を決意したようだ。

コモディティストレージの利用は全体の42%まで拡大

無償版の提供でユーザーの裾野を拡げるScaleIO

 また、コモディティハードウェアでスケールアウト対応のSDSを実現するScaleIOに関しても、2015年6月から無償版が提供されることになった。「時間制限もなく、自由に使える。コミュニティで質問することもできる」(デザイ氏)。

ScaleIOは無償版が提供。時間制限もなく、キャパシティも無制限

 コモディティハードウェアを用いて、拡張性の高いブロックストレージクラスターを構成できるScaleIOは、エマージング分野でも特に高い成長率を誇る。デザイ氏は「まずは柔軟性だ。ベアメタルでも、さまざまなハイパーバイザーでも使える。拡張性も優れており、I/Oプロセスを拡張すると共に、パフォーマンスも上がる。ノードを並列化しているので、何千台になってもボトルネックが出ない」とアピール。500ノードで100万リードIOPSを実現すると説明した。

 デザイ氏は、実際のパフォーマンスのベンチマークとして、オープンソースのSDSソフトウェアである「Ceph」との比較を披露。SDSで構成されたCephのクラスターと比較すると、ScaleIOはレスポンスで24倍、IOPSで7倍の優れているという。「Cephはオブジェクトの上にブロックストレージを実現しているので、トランザクションとして複数のI/Oが多く、(ScaleIOのような)スケールアウトストレージに比べ、パフォーマンスは劣る」(デザイ氏)。

SSDベースのCephと比べても高いパフォーマンスを実現する

 ScaleIOのメリットは性能面だけではない。「Cephの導入や管理もとても複雑だ。ScaleIOであれば、すぐに使える」とデザイ氏はアピールする。

 もちろん、ScaleIO自体の強化も進める。年末までには複数クラスターでの可用性を向上すると共に、IPv6サポートやRecoverPointと統合したDRを実現していくという。

VMware、Pivotalに続いてEMCもオープンソースへ進む

 EMCでのオープンソースプロジェクトについて説明したのは、EMC エマージングテクノロジー部門バイスプレイジデントであるランディ・バイアス氏だ。バイアス氏は、EMCが昨年買収したCloudScalingのCEOで、OpenStackコミュニティのファウンダーの1人でもある。

EMC エマージングテクノロジー部門バイスプレイジデント ランディ・バイアス氏

 現在はOpenStackとEMCストレージを連携させるOpenStackとEMCストレージの連携を実現するプロジェクト「Caspian」に携わるバイアス氏。EMCにジョインした後は、「オープンソースとはなにか」というところから説明をスタートしたという。「オープンソースとはなにかを理解してもらうことが課題だった。OSSというと、単に無償のソフトウェアというイメージがあるが、実際はコミュニティ、コントロール、ベンダーの中立性という3つの要素がある」(バイアス氏)。コミュニティと連携し、イノベーションのスピードを加速し、ベンダーに依存しないよう、プロジェクトをコントロールするということだ。

OpenStackとEMCストレージとの連携を実現するプロジェクト「Caspian」

 当初はEMC社内でもオープンソース化に対する反発があったという。しかし、「いったん反発を抑えた後の実行力はすさまじいものだった」とバイアス氏は語る。実際、EMCは短期間でViRRのオープンソース化を実現し、コミュニティとのエンゲージメントも進めた。「オープンソースに積極的なVMwareとPivotalに加え、本日以降、EMCもオープンソースに進む」(バイアス氏)とのことで、ViPRコントロールを皮切りにオープンソースへの取り組みを今後継続的に進めるという。「オープンソースプロジェクトに関するセミナーの部屋は満員になった。ViPRコントローラーのオープンソース化についても、みんな成功すると言ってくれた」とバイアス氏は満足そうに語る。

(次ページ、CaspianプロジェクトでOpenStackとの連携をアピール)


 

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