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REDEFINEの次へ!EMC WORLD 2015レポート 第2回

次世代プライマリストレージの役割を担うための進化を実現

XtremIOの真の価値はもはやパフォーマンスだけではない

2015年05月07日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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発表からわずか1年で未曾有の成長を実現したEMCのオールフラッシュアレイ「XtremIO」の新バージョンがEMC WORLD 2015で発表された。米EMC エマージングテクノロジー部門 プロダクトマーケティング シニアディレクターのアンディ・フェンセル氏に開発背景を聞いた。

すべてはアジャイルなデータセンターの実現するため

 EMC WORLD 2015の初日に発表された新製品の1つがXtremIO 4.0だ。オールフラッシュアレイとしての高い性能に加え、新版ではデータ保護や信頼性を強化。次世代のプライマリストレージを目指し、パフォーマンスのみを追求してきた従来のオールフラッシュアレイとは明らかに異なる方向性を打ち出してきた。

米EMC エマージングテクノロジー部門 プロダクトマーケティング シニアディレクター アンディ・フェンセル氏

 米EMCのアンディ・フェンセル氏によると、XtremIO 4.0のポイントはアジャイルなデータセンターを作るための完全なポートフォリオを作ることだという。「異なるストレージのワークロードを統合するのが目的だ。パフォーマンスだけを求めたわけではない」と語る。複数のワークロードを統合するには、ティアワンアプリケーションのSLAを満足させながら、リニアにパフォーマンスを上げる必要があるというのがフェルセン氏の弁だ。

 しかし、アジャイルなデータセンターこれだけでは足りない。「スケールできること、複数のクリティカルなワークロードに対してのデータ保護、ビジネス継続性、さらにはアプリケーションと統合したコピーサービスが重要だ」とフェンセン氏は語る。高い拡張性、ノンストップでのオンライン増設、迅速なデータ保護を可能にするレプリケーションなど一連のXtremIO 4.0の新機能は、この3つの要件に立脚するという。

 XtremIO 4.0では従来の4ブロックから8ブロックまで増設することが可能になっている。「拡張性を前提としたアーキテクチャなので、技術的には16ブロックも可能だが、8ブロックになったのは検証上の問題だ。むしろ、8ブロックまでの増設をアプリケーションのダウンタイムなしに実現するほうが技術的な敷居は高かった」とフェルセン氏は振り返る。

40TBのX-BRICKを複数組み合わせて高い拡張性を実現するXtremIOは基調講演にも登場

 特に「RecovePoint」の技術を取り込んだレプリケーションはフラッシュの耐久性に配慮した効率の高いコピーサービスを提供する。「既存のレプリケーションでは書き込みの際に2箇所に分割(スプリット)される。この方法ではリソースを食うし、WANの帯域も消費する。1秒間のI/Oが100万におよぶXtremIOではこのスプリットのアプローチでは対応できない。そのため、XtremIOではメタデータを活用し、更新部分のみをコピーしている」(フェンセン氏)。これにより、WANの帯域は10%程度で済み、リカバリのRPOも1分以下で済むという。

 アプリケーションと統合されたコピーサービスもユニークだ。「自動的にスケジューリングされた高度なアプリケーションコピーサービスを利用できる。しかもセルフサービスだ。キャパシティへの影響がない、SLAを落とさないのであれば、アプリケーションチームでも気軽に使える」とフェンセン氏はアピールする。

オールフラッシュアレイは第三幕に移ろうとしている

 スタートアップが切り開き、大手ベンダーが追従してきたオールフラッシュアレイだが、市場は大きく変化している。フェルセン氏は、「シェークスピアの劇で言えば、『オールフラッシュ=パフォーマンス』だったのは第一幕の話。第二幕はワークロードとの統合に移っている。ここでは高いパフォーマンスはもちろん、安定性がなにより重要になる。また、ワークロードが増えたときにパフォーマンスを足さなければならないので、拡張性が必要になる。他ベンダーと大きく水を空けているのはまさにこの部分だ」と語る。そして、XtremIO 4.0が見据える“第3幕”が前述したアジャイルなデータセンターやアプリケーションとの統合だという。

複数のアプリケーションを統合する“The Beast”のXtremIO 4.0をアピールするビデオも放映

 当初、VDI(Virutal Desktop Infrastructure)やデータベースの高速化にフォーカスしていたオールフラッシュアレイだが、すでにXtremIOはより汎用的な用途にシフトしているという。「XtremIOも約1年前はVDIの用途が全体の約7割を占めていた。その後も医療分野を中心にVDIは四半期ごと30%ずつ増えているが、現在ではデータベース、アナリスティック、ビジネスアプリケーション、プライベートクラウドなどの用途が急速に拡大し、全体の17%にまで下がっている」とフェルセン氏は語る。

 VMwareやDataDomainに比べても圧倒的に高い成長率を誇るXtremIOは、今や同社の期待の星となっている。「第二幕に相当する正しいタイミングでよい製品があったからだ。重複排除によるデータとコストが削減でき、リニアに拡張できるアーキテクチャによって統合も可能になった。そして、今回のXtremIO 4.0では、その土台の上にリッチなデータサービスを備え、第三幕に移ろうとしている」(フェルセン氏)。

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