国内PCメーカーの焦り
一方で、国内PCメーカーの間では、Windows 10の発売が今年夏へと前倒しになったことで、焦りの声が聞かれ始めている。
マイクロソフトの正式発表では、もともと年内の発売とアナウンス。そして、マイクロソフトのケビン・ターナー(B. Kevin Turner)COOが「今年秋」という表現を用いたことで、年末商戦にまで十分な準備ができる「秋」の発売という姿勢が前提となっていた。
だが、「今年夏」へと発売時期が前倒しされたことで、PCメーカー各社は、焦りの色を隠せない。さらに、PCメーカー各社の間では、7月末の発売が有力という情報が流れていることから、その焦りをさらに加速する格好となっている。
7月末発売なら、米国市場では最高のタイミング
仮に7月末発売となった場合、米国において新入学が始まる9月に向けた商戦期となり、米国市場では最高のタイミングとなる。「新たな学生生活は、新たなOSで」といった提案ができるからだ。
一方日本の場合には、夏モデルが登場して1〜2カ月というタイミング。商品寿命が極めて短いタイミングでの新製品投入にならざるを得ない。
そのため、夏モデルの発売時期をWindows 10の発売時期にまでずらすか、あるいは、5月に続いて、7月末にWindows 10を搭載した新製品を投入するのかといった決断を迫られることになる。
決断をさらに難しくする「Windows 10への無償アップグレード」
そして、その決断をさらに難しくしているのが、Windows 10への無償アップグレードの問題だ。
マイクロソフトでは、Windows 10の投入にあわせて、Windows 7およびWindows 8.1のPCは、1年間限定ながら無償でWindows 10にアップグレードできる施策を発表している。
マーケティング上、これを活用した提案を行ない、既存モデルで乗り切るという手もあるが、これがどれくらい市場に受け入れられるかは未知数だ。
やはり、Windows 10の発売にあわせた新製品を投入することで、新鮮味を打ち出しながら市場を盛り上げたいのが本音だろう。
5月、7月、そして10月に新製品を投入するという、短いサイクルで新製品投入を余儀なくされる可能性があるだけに、国内PCメーカーにとって、Windows 10の夏の発売はやや頭の痛い問題かもしれない。
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