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今年も話題のスマホがたくさん発表! MWC 2015レポ 第26回

プライバシー最重要視スマホのBlackphoneはプライバシー界のAppleを目指す!?

2015年03月11日 14時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII.jp

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 2014年に”プライバシースマホ”として市場に参入した「Blackphone」のSilent CircleがMWC2015で、後継となる「Blackphone 2」およびタブレット「Blackphone +」とともに、最新のビジネス戦略を発表した。今年はアプリストアなどエコシステム周りにも取り組みを拡大し、モバイルにおけるプライバシービジネスを起動に乗せる。

プライバシー特化型スマホ「Blackphone」が第2弾モデルに。5.5型になって大型化した

Blackphoneによって、スマホの安全性を
モバイル界のiPhoneのように再構築する

 Silent Circleはスペインの端末メーカーGeeksphoneとのジョイントベンチャーとしてSGP Technologiesを設立したが、MWCの直前にSilent Circle自身が買収することを発表した。同社はまた、5000万ドルの資金調達を受けることも明らかにしている。

 今年のMWCではBlackphone 2などの端末に加えて、「Silent Circle Enterprise Privacy Platform」として、デバイス、ソフトウェア、サービスの3軸でプライバシーに特化したモバイルソリューションを提供することも明らかにした。

 Blackphone 2は、64bitオクタコア、3GBメモリーを搭載、画面は5.5型と初代の4.7型から大きくなった。Blackphone+は”phone”という言葉が入っているものの7型タブレット。LTEもサポートする。ともに提供は2015年後半の予定だ。

 Blackphone 2とBlackphone+がともに採用するのが、Androidをベースにセキュリティとプライバシー機能を組み込んだ「PrivatOS」だ。端末に合わせて最新版の1.1を発表した。

 1.1は初のメジャーアップグレードとなり、OSレベルでの仮想化・管理ソリューション「Spaces」を導入した。個人用と業務用のアプリを分けるもので、BYOD対策に悩む企業向けを意識した。IT管理者は必要に応じて業務用のSpacesをロックしたり削除できるという。同社はまた、MDMでCitrixなどと提携したことも発表した。

 OS上のサービスとしては、暗号化通信のための機能セットを「Silent Suite」として提供する。同スイートには、P2Pでの鍵交換・管理機能を持ち、音声とSMSのSilent Phone、TV会議システムSilent Meetingなどが含まれる。なお、Silent Phoneは以前からアプリとして提供しているが、Silent MeetingはMWCで発表した新機能となる。

 3つ目の柱となるサービスはエコシステムの取り組みとなる。プライバシーにフォーカスしたアプリストアSilent Store、Silent Circleを利用していない相手との通信を暗号化するSilent Worldなどを展開する。アプリストアはSilent Circleが選定した開発者コミュニティーが開発したアプリのみ提供される。

 今年1月にCEOとしてSilent Circleに加わった元EntrustのCEO、Bill Conner氏は、Blackphoneが「次のステージに入った」とする。そして自社をAppleにたとえて、「Appleは使いやすさでモバイルを再構築した。われわれはセキュリティを簡単に、直感的に使えるようにすることで再構築する」と語った。

新しくCEOに就任したBill Conner氏

 Blackphone 2は「セクシーで、同時に安全だ」とし、Blackphone +は「初のプライバシータブレット」とした。Appleとの違いとして、デスクトップのレガシーがないこと、オープンプラットフォームであることを挙げた。

 プライバシーとセキュリティーが重要な根拠として、ここ数年のデータ漏えいのデータを示す。それによると、2009年は340万件だったのが2011年には6倍強の2270万件に、そして2014年はそこからさらに2倍近くの4280万件に達しているとのこと。「我々は土台から異なるモバイルアーキテクチャをもつ世界初のエンタープライズ向けプライバシープラットフォームを提供する」とする。

 なお、2014年末のSony Pictures Entertainmentに対するハッキングについて、PGP(Pretty Good Privacy)の開発者で同社の共同創業者兼チーフサイエンティストのPhil Zimmermann氏は、「侵入検出、ファイアウォール、アンチウイルスなどのセキュリティー対策を講じていたがハッキングされ、全員のプライバシーを侵害するという結果になった。PGPを使っておくべきだった」とコメントした。「Silent Circleを利用していたら安全な通信ができた」とも。そして、「我々はPKI(公開鍵基盤)に依存しない」と違いを強調した。

PGPの開発者として知られるPhil Zimmermann氏

 なお、MWCの会期中、フィンランドJollaもSSH Communicationsと提携して安全なモバイルOS開発に乗り出すことを発表している。

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