MWC 2015のネットワーク側の話題は5Gだった。最大で10Gbpsといわれる伝送速度を目指しており、商用化は2020年を目指す。今年はEricssonが5G通信のデモを披露、目標の半分の5Gbpsを実現していた。Ericssonブースを中心に、展示のハイライトをみてみたい。
まずは目玉となった5G通信デモ。会場内に基地局と端末を設置し、5Gbps以上の速度(下り)を実現している。
自動車と自動車の間で
路面の状況などをリアルタイムでやり取りする
5Gは速度、容量、低遅延などの特徴を持ち、スマートフォンやタブレットだけを想定したネットワークではない。Ericssonのブースでは、そのような高性能ネットワークにより何ができるのかを示していた。
モバイルブロードバンドを利用したユースケースとしてデモしていたのが、交通管理システムだ。車のネット対応は大きなトレンドで、米国などでは5.9GHz帯を利用した車両間通信システムの開発も進んでいる。
Ericssonのデモは、モバイルネットワークを利用し、スマートフォンベースで路面が滑りやすいなどの情報を自動車と自動車の間でやりとりするというものだ。ちばみに3G利用の場合は350ミリ秒、LTEでは150ミリ秒もかってしまう。
車のネット対応を交通局が活用できないかと開発したのが「Connected Traffic Cloud」というソリューションだ。すべりやすい、工事中、閉鎖などの重要な情報や警告を周辺の車に送ることができる。もちろん道路上の掲示板などが接続されていればそこでも表示できる。
このほか、将来的には車からの情報を収集して活用することも考えられるという。すでに政府の交通当局から高い関心が得られているとのこと。Ericssonはクラウドに力を入れており、Connected Traffic Cloudが土台とするサービスエネーブルメントプラットフォームは、同社がVolvo向けに提供するクラウドサービスConnected Vehicle Cloud、船のコンテナなど海運向けのMaritime ICT Cloudの土台ともなっている。
交通関連では、ボルボのConnected Vehicle Cloudでも新しい技術を展示していた。自転車と間での事故を防ぐConnected Safetyというコンセプトで、現在実験中という。
これは自転車に乗っている人が持っているスマートフォンのGPS情報をを利用して自転車の位置、それに速度や方角を計算し、走行中の自動車との安全性を割り出す。
衝突の可能性があるときは自転車と自動車の両方に警告が送られるが、自転車ではスマートフォンとBluetoothで連携するヘルメットのLEDランプが点灯したり、バイブレーションで運転者に危険を知らせることも考えられる。
同じくクラウドとモバイルブロードバンドのユースケースとしてEricssonがプッシュしているのがメディア配信分野だ。2010年に買収完了したTandberg TVにはじまり、2013年にはMicrosoftからMediaroom事業を取得している。
MWCではMediaroomのクラウド版「Mediafirst」を披露した。STBは不要で、顧客にTV、スマートフォン、タブレットでTVや映画などの動画体験を提供できる。パーソナライズを強化し、おすすめのTV番組がはじまる前にアラートを出すなどのことができる。クラウドの特徴を生かし、ユーザーの利用から好みのコンテンツや傾向を学ぶことができるという。
Mediafirstはすでにトライアルが始まっているとのこと。EricssonはTV/メディアを重点分野の1つと位置づけており、オンプレミスのMediaroomの提供も継続する。
一方ファーウェイは5G、仮想化、クラウドなどを展示していたが、別ブースでMWCで初披露となるTV会議システム「MirrorSys」のプロトタイプのデモを見ることができた。
8K解像度の映像により、環境をそのまま伝える”フルフィールドコミュニケーション”技術で、鳥のさえずりなどの音も拾うことができるという。スクリーンの相手は実物大で、双方向のコミュニケーションが可能だ。
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