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サイロ化と仮想化・クラウドの普及で「ITの見えない化」が進んでいる?

障害や性能を見える化するソーラーウインズでデスマを止めろ

2015年03月09日 10時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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「仮想化やクラウドの導入によって、ITシステムの運用コストは大きく削減。削減したコストを管理の自動化や戦略的なITの投資に回せる」。ITベンダーが唱えてきたお題目はその通りになったのか? コストパフォーマンスの高い運用管理ツールを展開するソーラーウインズに聞いた。

コスト削減型ITで運用管理はバラ色になったのか?

 エンタープライズITの世界でこの20年間中心だったのは、「コスト削減型のIT」だ。システムのオープン化や統合化、仮想化、クラウドコンピューティングなど、多くのテクノロジーは運用や管理のコストを下げることを大きなテーマに掲げてきた。そして、クラウド時代が本格的に到来。削減されたコストはデータ解析やモバイルなどの戦略的IT、あるいは運用管理の自動化に費やされるというのが、多くのITベンダーが描いたシナリオと言える。

 しかし、現場が喜ぶ「バラ色の未来」に果たしてなっただろうか? 確かにクラウド移行で運用管理の負荷が減った、見える化が実現できたという声もあるだろう。だが、多くの現場では、いまだもって「運用・管理のデスマーチ」が続いているのではないだろうか? 「アプリケーションが見えない」「システムが遅い」などの問い合わせに対し、システムの復旧を進めながら、いち早くエンドユーザーにレスポンスしなければならない。だが、障害や性能劣化の発見を追うまでにますます時間がかかるようになっているのが現場の事情ではないだろうか?

障害や性能劣化の原因を発見するのにますます時間がかかっている。まさに運用・管理のデスマーチ

 これにはいくつかの理由がある。1つはITが従来より複雑化しているという背景だ。ITの進化のスピードが上がっており、ITの複雑性は爆発している。端末としてスマートフォンやノートPCなどのさまざまなデバイスが台頭し、管理対象となる台数はどんどん増えていく。また、デプロイも大きく変化している。データセンターとオンプレミス、プライベートクラウドとパブリッククラウドなどに分散し、しかも異なるシステムで管理することになるため、運用管理はおのずと複雑になるわけだ。

障害や性能劣化の原因がわからずにたらい回し

 IT部門のサイロ化も大きな問題だ。多くのエンタープライズアプリケーションはサーバーやストレージ、ネットワークなどのインフラをベースにして、データベースやミドルウェア、そして上位のアプリケーションが構築されている。エンドユーザーが利用するデバイスも、PCだけではなく、スマートフォンやタブレットと拡大している。

 これに対して、企業のIT部門や管理を請け負うSIerは各コンポーネントごとに運用を行なう専任の管理者を置いていた。サーバーやアプリケーションのシステム管理者、ストレージにはストレージ管理者、データベースにはデータベース管理者、セキュリティはセキュリティ管理者、ネットワークにはネットワーク管理者などだ。つまり、個別の技術要素でプロフェッショナルがサイロ化しているわけだ。

 しかし、管理がサイロ化していたら、トラブルの原因を探すのは難しくなる。ネットワークに問題がなければ、サーバーへ。サーバーに障害がなければ、ストレージへ。エンドユーザーが問い合わせても、担当部門内でトラブルがなければ、他の分野に原因究明がたらい回しされる。こうして障害が長期化すると、従業員の生産性に大きな影響が出る。ソーラーウインズ アジアパシフィック担当 上級副社長のジョンF.リッツオ氏は、「従業員 1000名の企業でシステムが10分遅延を起こせば、約166時間ぶんの⽣産性を奪うことになる。管理者同士の連携がなければ、サーバーのリソースに空きがあっても、逼迫しているところに融通することは難しい」とサイロ化の弊害についてこう指摘する。

ソーラーウインズ アジアパシフィック担当 上級副社長のジョンF.リッツオ氏

 一方で、エンドユーザーが関心を持つのはアプリケーションの使い勝手だけだ。「ユーザーはアプリケーションがどこで動いているか、サーバーやネットワーク、セキュリティ機器のどこに問題があるのかはまったく意識していない」(リッツオ氏)。そのため、もしアプリケーションが使えなくなったり、遅くなったら、IT部門に問い合わせが殺到することになる。障害原因を求めて、問い合わせ続けなければならない。まさに“爆弾を渡すゲーム”のようになってしまうわけだ。

仮想化とクラウドの台頭が複雑なITに拍車をかける

 そして、仮想化やクラウドの普及はこれらの複雑性に拍車をかけている。ITハードウェアがソフトウェア化したことで、かえって管理しにくくなるという現実だ。

 調査会社IDC Japanのレポートによると、2012年には仮想マシンの出荷台数が物理サーバーの出荷台数を上回っている(国内サーバー市場の動向:物理サーバーと仮想サーバーの比較、2007年~2016年(出典: IDC Japan)。また、2013年には本番環境でx86の仮想サーバーを用いる企業が8割を超えるというデータもある(出典: 2013年2月、IDC Japanのユーザー調査結果)。仮想化の活用レベルは十分に高まっているわけだ。

 しかし、物理サーバーにヒモ付かない仮想サーバーを管理するのは、物理サーバーより煩雑だ。物理サーバー間を容易に移動できるモビリティがあり、複数の仮想マシンで物理サーバーのリソースを共有するがために、性能劣化や障害につながるボトルネックが見えにくい。「CPUの能力が足りないのか、メモリが足りないのか、ストレージのI/Oに問題があるのか? 管理者から見えにくくなっている状況だ」(リッツオ氏)。さらに、最近ではIT部門の管理外で、エンドユーザーが勝手にクラウドサービスを使う「シャドーIT」も大きな問題になっている。

仮想化時代は障害や性能劣化の原因を追及するのが難しい

(次ページ、徹底化した「見える化」で障害や性能劣化をいち早くチェック)


 

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