音質をチェック! ドラムの音が違う!!
試聴はいわゆる「AOR」(Adult Oriented Rock)や「スムース・ジャズ」と呼ばれるジャンルを中心に行なった。
DSEE HXのオン/オフも随時行なうことで、その効果と存在感を測定している。なお、組み合わせたヘッドホンは、リーズナブルな価格帯ながら高い描写力を持つ開放型「AKG K612 PRO」(実売価格2万2000円前後)をチョイス、ZX1を試聴した時(関連記事)と条件を揃えた(ちなみに、ZX2にはイヤフォン、ヘッドフォンは付属しない)。
一聴してわかるのが、ZX1からの「進化」だ。解像感の高さはZX1譲り、というより明らかに立ち上がり・立ち下りの速さが増している。44.1kHz系専用のクロックが追加された(48kHz系とあわせ2系統となった)効果か、特にCDソース音源の再生時に明らかな精細感向上が認められる。
特に違いを感じるのが、ドラムの音。CDから取りこんだYUTAKAの「Warm And Sunny Sunday Morning」は、かつてGRPレーベル界隈で職人技を聴かせてくれたドラマー、カルロス・ヴェガの巧みなスティックワークに惚れ込み軽く数百回は聴いている曲だが、DSEE HXをオンにすると音の繊細さが増し、新鮮味すら覚えるほど。
瞬発力も明らかに向上している。立ち上がり・立ち下りのレスポンスが改善されたためか、アタックもリムショットもハイハットをオープン/クローズするときの微細な音も、より説得力をもって迫る。
TOTOの「Rosana」もCD音源だが、ジェフ・ポーカロならではの厚みがありつつも鋭いキックが一層冴える。この瞬発力は、大量の電力を貯めておける電気二重層キャパシタの効果が大きそうだ。
女性ボーカルが入ったDSD音源も再生してみたが、ネイティブ再生を行なう他のDAP/ポータブルアンプとはまた違った味わいがある。リップノイズまで忠実に再現するほどのディテールの細かさもさることながら、静寂の中から徐々に音が立ち上がるときのS/N感も印象深い。
バッテリー持続時間が約2倍にまで引き上げられたことも、間接的ながら“音を楽しむ”ことにプラスに作用している。
ZX1のときは、バッテリーが減るペースを考えるとDSEE HXをオンにすることにためらいを感じたが、ZX2では常時オンにしてもさほど負担を感じない。microSDのサポートも、楽曲の入れ替えが格段にラクになったという意味で音楽体験の改善に寄与している。
次回からは開発者インタビューを掲載
このNW-ZX2の開発陣に開発に関するこだわりなどをインタビューしてきたので、次回からはその模様をレポートする。
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