「ハイレゾウォークマン」の基本コンセプトには
他のオーディオプレーヤーとは違うこだわりが!
音質インプレッションの前に、ZX2を含む「ハイレゾウォークマン」の基本コンセプトについて解説しておきたい。
他製品とスペックを比較するには、ZX2開発陣が目指したであろう「高音質像」について、多少の補足説明が必要だろう。
まず、フルデジタルが前提としてあること。ZX1に続き採用された「S-Master HX」はクラスD(アンプの駆動種類の1つ)のデジタルアンプであり、音声出力段直前まですべてをデジタル処理する。
アナログ回路を積むオーディオプレーヤーの場合、DACチップによりD/A変換を行なうが、S-Master HXはDACの役割を兼ねる。デジタル信号の処理に対するアプローチが、他のオーディオプレーヤーとは異なるのだ。
DSDの扱いに関する理解も必要だろう。S-Master HXに限った話ではないが、世にあるデジタルアンプはDSD(1bitデータ)を直接入力できない。つまりはネイティブDSD再生に対応せず、DSD対応といっても必ずPCM変換されることになる。
しかし、それは必ずしもデメリットではない。フルデジタルが前提のZX2でネイティブDSD再生しようとすれば、S-Master HXの前段でD/A変換を行ない、後からAD変換しなければならず、S/Nの面で不利になるうえ、デジタルアンプの利点もスポイルされる。
S-Master HX搭載機に関していえば、PCM変換によるDSD再生は合理的かつ音質的に妥当なアプローチといえる。
一方、フルデジタルなだけにPCM音源の再生には理論上ムダがない。D/A、A/D変換を伴わない“素のデジタル音源”を再生できるため、CDベースの音源との相性は抜群だ。そこをアップサンプリング機能「DSEE HX」で拡張すれば、CDという膨大な音のストックを存分に生かせることになる。
(次ページに続く、「音質をチェック! ドラムの音が違う!!」)
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