ハイレゾウォークマンのフラッグシップモデル「NW-ZX1」は、その音質で大きな話題を集めた。
その後継たる「NW-ZX2」(関連記事)は、どのような考えのもと開発されたのか。今回はソニーの開発チームに取材し、スペックからは伺い知れない“込められた思い”を解き明かしたい。
“試行錯誤を重ねつつ創りあげる”
ZXシリーズの開発コンセプト
話題を集めた製品の2号機は、誕生前から“先代超え”という宿命を負っている。2号機が成功しなければ3号機はなく、当然シリーズ化/定番化にはつながらない。
初代(カセットの)ウォークマンにしても然り、1号機より2号機「WM-2」のほうが完成度は高く、現在に至る“ウォークマン”という一大ブランドを築いたのは2号機だ。
ZX2も「ハイレゾ」というウォークマンシリーズにおける新機軸を打ち出す製品であり、フラッグシップたる「ZX」の名を冠する以上妥協は許されず、かつ1号機を超えねばならない。当然、開発陣もそのあたりは重々承知のはず。
開口一番、ZX2の開発方針を訊ねてみたところ「“モバイルオーディオの最高音質”を目指した」(田中氏)とコンセプトは明快だ。
「バッテリーの強化とメモリカードのサポートは、ZX1ユーザからの要望を考慮した。新コーデック『LDAC』の追加によるBluetoothオーディオの強化、DSD再生面におけるソフトウェアの作り込みなど、必要な機能も吟味している」(田中氏)と、改良および新機能を加えたデバイスがZX2と考えてよさそうだ。
しかし、ZX2をストレートな改良版として捉えるのは誤りだ。「ZX1の時もそうだが、ほとんど制約がない状態から開発をスタートした。こういう部品を使おう、という話は開発スタートの時点ではなかった」(佐藤朝明氏)とのこと。
どこまでできるのか試行錯誤を重ねつつ創りあげる――それがZXシリーズ共通の進め方なのだ。
最高音質を目指すという心意気はわかるが、企画を通すためどのように周囲に理解させるか訊ねたところ、「ある程度の構成で実際に音を聴いてもらうことにより、どのような商品になるかを実感させる」(佐藤浩朗氏)のだという。
周到なマーケティングもあるのだろうが、「音」が製品の軸であることは確かだ。
(次ページに続く、「デジタルアンプの長所を生かす思想」)

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