トヨタ自動車や、Googleの自動運転、運転支援等のニュースがメディアを騒がす日は多い。IEEEの発表によると、2040年には自律型自動車の割合が75%になると予想される。そうしたITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)時代を迎えるにあたり、自動運転、運転支援を支える車車間、路車間通信用のVLSIを開発する半導体ベンチャーAutotalksの日本のカントリーマネジャーの中松氏にお話を伺った。
まず、このAutotalksを一言で説明すると、世界で初めて車車間通信のチップセットを開発した会社である。ちなみに、世界でこうした車車間通信のチップを開発している会社挙げるとNXPセミコンダクターズなどがある。
創業は、2008年。日本市場の進出は意外と早く、会社設立から2年後の2010年に事務所を開設。日本市場への進出が早かった理由は、日本はご存知の通り世界展開する自動車メーカーが多く、かつ自動運転の標準化が早く進むのではないかという目論見(当時)があったからである。
同社は現在、プロセッサータイプの「CRATON」とトランシーバータイプの「PLUTON」と2種のチップセットを提供。インフィニオンのSLI 97 Hardware Security Module にファームウェアを提供(2014年5月)している。
自動車のセキュリティは、生死に関わる。車同士が通信するとなると、車間距離を適宜迅速に図る必要がある。
「自分が実装している道を時速100km の車が逆走してきたらを考えれば、話は分かりやすい。「車」と「車」同士の通信を1秒単位以下で把握することは勿論、周辺に多くの車が走行しており、そうした車がどういう動きをしているかを把握することが、そのまま事故の確率を大きく減らしていくことになる」と中松氏。
つまり、車車間の通信速度は、とにかく速く同時並行処理できないといけない。中松氏によると、同社の製品スペック上1秒間に2000台以上の車とセキュアな迅速な通信が可能なのである。
筆者紹介──加藤スティーブ

イスラエルの尖った技術に着目して、2006年にイスラエル初訪問。2009年にISRATECHを設立し、毎月40〜60社のスタートアップが生まれるイスラエル企業の情報を日本へ発信し続ける。2012年にはイスラエル国内にも拠点を設立。イスラエルのイノベーションを日本へ取り込むための活動に着手する。ダイヤモンドオンラインにて「サムスンは既に10年前に進出! 発明大国イスラエルの頭脳を生かせ」を連載。

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