Office 365/EMS/Windowsの利用権をまとめた「Enterprise Cloud Suite」
MSが「ユーザー単位」のシンプルな法人向け統合ライセンス発表
2014年11月25日 06時00分更新
日本マイクロソフトは11月21日、法人向けの新しい統合クライアントライセンス「Enterprise Cloud Suite」を発表した。エンドユーザーの利用形態がマルチデバイス/クラウド/モバイルの環境へと変化しているのに合わせ、「ユーザー単位」で課金するライセンスとなっており、Windowsクライアントと「Office 365」、モバイル環境管理サービスをまとめて利用できる。
Enterprise Cloud Suite(ECS)は、オフィススイートSaaSの「Office 365 E3」、クライアントOS(Windows Enterprise)の利用権である「Windows Software Assurance(Windows SA) per User」、モバイル環境管理サービス「Enterprise Mobility Suite(EMS)」(関連記事)の3つのライセンスを、1つに統合して提供する統合ライセンス。ユーザー数またはデバイス数が250以上の企業向けプログラムで、12月1日から提供を開始する。
ユーザーのマルチデバイス利用に対応するため、デバイス単位ではなくユーザー単位でのライセンスモデルとなっているのが特徴の1つ。主要PCのOSが要件を満たすもの(Windows Pro/Enterprise)であれば、ユーザーが複数のデバイスを所有している場合、すべてのデバイス(Windows、Windows RT、Mac、iOS、Android)で利用可能となる。これにより、管理者は従業員が使用するデバイスの数を確認することなく、コンプライアンスを維持しながらシンプルにライセンスを管理できる。
また、スイート割引があり、3つのサービスを個別に購入する場合と比べて高いコスト効率で購入/利用ができる。
日本マイクロソフトの小原氏は、ECSが包含する3つのライセンスはそれぞれ個別に提供されてきたものだが、「もっとシンプルに、シームレスに使っていただくために検討を重ねてきた」と、ECS提供の背景を説明した。
また永井氏は、現在のワークスタイルは「3A=Anytime、Anywhere、Anydevice」にシフトしてきており、ECSは「3A環境へのニーズを感じている企業がすべて対象だといえる」と述べた。「ユーザー単位のライセンスなので、たとえばソフトウェア開発の会社など、ユーザーよりもデバイスの数がはるかに多いような場合にもコストメリットは大きい」(同氏)。
なお、ECSはボリュームライセンスである「Enterprise Agreement(EA)」の1つに位置づけられており、契約には250以上のユーザー/デバイスが必要。購入形態は3種類あり、ECSの新規購入、EA更新時の乗り換えのほか、既存のEAに“アドオン(追加購入)”する形態のライセンスも用意されている。
従来のライセンス形態とECSとのコスト比較について小原氏は、既存の契約内容やユーザー数、デバイス数によるとしながらも、「最大で20%くらいのコストメリットがあると考えている」と述べた。