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モナカもジェラートも80kcal! 開発の裏にはどんな秘密が……

グリコの80キロカロリーアイスの開発秘話を聞いてきた

2014年08月20日 09時00分更新

文● コジマ/ASCII.jp編集部

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「やめとけ」と言われたあずきモナカの開発秘話

――オリジナルの味というよりは、80kcalの中で、なるべくおいしいアイスに近づけようという……。

田中 すごくまずいものから出発してるわけですからね。「どこまで普通にできるか」といえばいいのかな。さすがに嗜好品なので、「カロリー低いからまずくても許してね」というわけにはいかんわなあ、というのはありました。おいしさというのが大事だったんです。

――そのような試行錯誤を経てアイスが生まれたばかりか、モナカまでも開発されていますよね。カロリーを抑えるのは大変だったと思いますが……。

モナカは「チョコモナカ」「バニラあずきモナカ」「抹茶あずきモナカ」の3種類。当然だが、全部80kcalだ

田中 一番最初に、バニラと抹茶とラムレーズンのアイスを作った。その次に、モナカを作ろうとなったんですよ。モナカはまず、型が必要なんですね。で、今の製品に近い、丸い型で作ったら、モナカだけで25、6kcalになった。

 そうすると残りは55kcalなんですが、それではロクなアイスが作れない(笑)。「モナカはやめとけ」とまで言われましたねえ。でも、どうしても、あずきの入ったモナカを作りたいと思ったんです。

 ただ、モナカの皮とアイスでカロリーを使っているのに、そこにあずきを入れるとなるともう大変……。だからまず、モナカをとにかく薄くしてくれと。その上で、破れたりしないような配合で皮を作ってもらって、なんとかカロリーを落としていって。

 さらに、あずきを入れようとするとカロリーが多くなるので、クリームにあずきを練り込んだら、減るんじゃないかと考えたんです。他社さんですけれども、井村屋さんの「あずきバー」のようなものですね。

 その方針で試作品ができたので、当時の部長に試食してもらったんです。そうしたら……優しい上司でね、「まずい」って言わないんですよ。「……これ、せつないなあ」って(笑)。そう言われて、ああ、これじゃダメだなと(笑)。だから、絶対あずきは入れようと思いました。

――秘訣はなんだったんでしょう。

田中 当時の担当者に聞いたんですが、あずきを入れるとカロリーがオーバーしてしまうことが明白だったんです。食物繊維が0kcalだったので、まずそれを使ってアイス部の甘味料・乳製品を減らしました。

 また、あずきは甘味料(糖アルコール/2kcal)で甘みをつけたいところ、高甘味度甘味料(スクラロース/0kcal)を併用して、この工夫で80kcalのあずきモナカを作ることができたんです。

――チョコモナカもラインナップにありますが、チョコのカロリーを下げるのも大変ですよね?

田中 これは、専用のチョコを開発しました。チョコって、油の塊みたいなものなんで……それを抜いてできるのかということで、チョコを作ってくれるメーカーさんと何十回もやりとりしましたよ。

田中さんの思い出深いフレーバーの一つ、「バニラ&チョコクランチ」

 チョコといえば、このクランチ。昔からどうしても、80kcalで「クッキークリーム」味を作りたかったんです。ただ普通に作ると、クッキー部分がぼそぼそして、食べられたもんじゃない。

 そこで、クッキーを開発することになったんですが……時間がかかりました。作りたいと言ってから3年ぐらいかかりましたねえ。ただ完成はしたものの、商品に“クッキー”と名付けるには定義があって、その条件を満たしていないので、“クランチ”という名称になりました。そこがちょっと残念です(笑)。


(次ページでは、低カロリーに向かないフレーバーは「キャラメル」!?)

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