愛されるアイスを作るために何年もかけて登ってきた
――最初、健康志向のアイスは売れない……という歴史を紹介されていましたよね。でもカロリーコントロールアイスは愛されている。なぜなんでしょう。
田中 アイスは、やはりおいしさというのが強く求められるわけです。反面、カロリーが気になるという声も強い。カロリーが低いアイスがほしい、でも、おいしくないのはいやだ。
ほかのメーカーさんも、似たようなものを出されたり、いろいろやってこられたんですよ。ウチのアイスを見て、「あいつら、そこそこいいところを耕したぞ」みたいな感じで(笑)。でも、結局1年ももたずに消えていったんですよね。
カロリーコントロールアイスは、80kcalで、ちゃんとアイスとしておいしいのが、続けて食べていただけるところに繋がったんだろうなと思います。散々味作りに励みましたけど、そこが良かったんでしょうね。
――カロリーコントロールアイスは発売開始が2003年ですから、販売が10年を超えているロングセラーになりました。
田中 カロリーコントロールアイスは、ヘビーユーザーにすごくほめてもらえているんですよね。それこそ「救世主」「恋人以上」とか、「こいつなしでは生きていけない」みたいな。それは低カロリーであるがゆえに、食べたいのを我慢しなくていい、罪悪感を感じなくていいということのようなんです。気持ちよく食べられるというのがある。
味がしっかりしているので、アイスを食べた感がすごくあるけど、我慢している感じはない。そこが強いようなんです。万人に注目される商品ではないですけれども、気に入ってもらえた方からの満足度がとても高い。ここまで生き残れたというのは、そこがポイントなんでしょう。
――今後の目標のようなものがあれば、お聞かせください。
田中 サンドアイスは作りたいですねえ。クッキーとかにアイスがサンドされているやつ。クランチができたので、「いけるじゃん」と思ったんですが、2枚でサンドしなければいけませんから。「1枚だったらいけるのになあ」とか思いつつ……。
あとはジェラートのように、もっとデザート性の強いもので、若い人にも訴求していけたらいいなあと。カロリーコントロールアイスを買っているような人が他に買っているものって、ウチの製品でいうと「パピコ」とか「アイスの実」とかなんですよね。なんでかというと、カロリーだけで見ると同じだからだと思うんです。
「カロリーが同じだから、パピコやアイスの実でいいかな」と思っている人に、カロリーコントロールアイスのおいしさをアピールしていくのが今後の課題でしょうね。カロリーを気にしている人に、魅力を伝えていく、理解してもらうというのが大事なんだと思っています。
――80kcalのアイスだけれど、おいしい、というところが大事ですからね。
田中 80kcalにしただけのアイスなら、作ること自体は簡単ですよ。でも、我々が何年もかけて登ってきた階段には、一足飛びには追いつけないだろうと。それぐらいのことはやってきましたし、魅力のある商品になっているという自信があります。
そうそう、以前、「一番最初に作った試作品を再現してください」と言われて、実際に再現して作って、食べてみるということをやったんですよ。やっぱり、びっくりするぐらいおいしくなくて(笑)。そこからずいぶん進歩したんだなって、あらためて実感しました(笑)。