25年目のCisco Live! テーマは“IoE”と“Fast IT” 第5回
「Cisco Live 2014」基調講演で語られた、IoEの現在と企業のビジネス変革
「IoEは未来ではなく、すでに現実」シスコ・チェンバースCEO
2014年06月04日 06時00分更新
あらゆる企業が、自らを「テクノロジーカンパニー」と再定義し始めた
大変動の時代において、着実に事業成果を挙げるために、組織内でテクノロジーに適切な役割を与えることが大切になっている。チェンバース氏は、この1年間に見られた新たな動向として、あらゆる企業や国/自治体が、自らを「テクノロジーファースト」な組織として再定義し、変革に向け動き始めていることを挙げた。
「たとえば、自社は小売企業や金融機関である前に『テクノロジー企業』であるという捉え方。国や自治体も『デジタルカントリー』『デジタルシティ』としてのビジョンを語り始めた」
こうした企業、組織を支えるITはシンプル、スマート、セキュアでなければならず、個々のテクノロジー/製品を包括する「アーキテクチャ」も欠かせない。こうした「Fast IT」を備えることで、ITの運用コスト(OpEx)は低減され、迅速にビジネス成果が生み出せる環境になると説明した。
「IoEは未来のビジョンではなく、すでに現実のもの」
IoEのコンセプトを実現するためにも、包括的なアーキテクチャは欠かせないという。
「『適切な情報を、適切なタイミングで、適切なデバイスを通じて適切な人に届け、適切な判断を下せるようにする』――企業がIoEに取り組む動機はシンプルだ。だが、IoEを『実行』するのはとても難しい。(包括的な)アーキテクチャがなければ、ほぼ実現不可能だ」
ACI、InterCloud(関連記事)、セキュリティ(関連記事)、フォグコンピューティング(関連記事)、コラボレーション環境の改善といった新たな取り組みも、いわば「すべてをつなぐ」IoEのアーキテクチャを完成させるために進めていると言えるだろう。
さて、昨年のCisco Liveではその可能性を訴えたIoEだが、今年は「IoEは未来のビジョンではなく、すでに現実のものである」というメッセージが強調され、具体的なビジネス価値に落とし込んだデモや事例紹介が行われた。
鉄道会社の列車運行システムを模したデモでは、路線上を走行中の列車からリアルタイムに取得した走行スピードや燃料効率、乗客数、そして沿線駅からリアルライムに取得した乗降客数などのデータを収集する様子が紹介された。
列車のリアルタイムデータは、沿線に設置された無線ルーター(ネットワークエッジ)上であらかじめ処理されたうえで収集される、フォグコンピューティングモデルである。駅の乗降客数カウントも同様に、ビデオアナリティクス技術を用い、フォグコンピューティングモデルで実行される。こうしたエッジ端末の管理はACIをベースとしており、共通ポリシーで簡潔に管理することができる。
チェンバース氏は、こうした正確かつ詳細なデータに基づいて列車運行スケジュール(ダイヤグラム)を最適化することで、路線あたりのキャパシティを30~40%改善することができ、収益向上につながると説明した。「この事例は、列車運行だけでなくゴミ収集車の運行まで、あらゆる運輸業務に適用できるだろう」。このような、パートナーが開発する多様な業種向けアプリケーションは、シスコのマーケットプレイスで4000種類以上提供されているという。
(→次ページ、IoEにより「ビジネスが変わった」企業事例が登場)
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