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5周年を迎えたCisco UCSは日本での事例も披露

ACIのプロトコル「OpFlex」を業界標準に送り出すシスコ

2014年04月16日 14時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月15日、シスコシステムズはデータセンター向け製品の刷新を行なった。発表会では、5周年を迎えたCisco UCSの実績をアピールすると共に、同社が推進するACI(Application Centric Infrastracture)用のプロトコル「OpFlex」や新たに投入されるフラッシュ製品について解説された。

ACIのビジョンをマルチベンダーで実現する「OpFlex」

 シスコのデータセンターソリューションは、Nexusブランドのネットワーク製品やアプライアンス、Cisco UCSのサーバー製品、そして自動化や統合管理を実現する各種ソフトウェア製品などから構成されている。最近ではアプリケーションに最適化されたインフラを実現するACIにおいてポリシーを制御を行なう「APIC(Application Policy Infrastracture Controller)」を投入し、ポートフォリオを強化している。

 発表会では、シスコシステムズ グローバルデータセンター/バーチャライゼーションセールス シニアバイスプレジデントのフランク・パロンボ氏が登壇。IT革新の中心にデータセンターがあり、今後ともデータセンターにコミットしていく点を強調。また、シスコでは、ネットワークやサーバー、管理・自動化のソフトウェアまで幅広く提供しており、「ここまで幅広いポートフォリオを提供するベンダーは業界に存在しない」とアピールした。

米シスコシステムズ グローバルデータセンター/バーチャライゼーションセールス シニアバイスプレジデント フランク・パロンボ氏

 今回の目玉は、Beyond SDNを掲げるACIのビジョンをマルチベンダーに提供可能にする標準プロトコル「OpFlex」だ。OpFlexはシスコのみならず、シトリックス、IBM、マイクロソフト、サンガード・アベイラビリティ・サービスとの共同開発で完成したもの。OpFlexを使うことで、コントローラーからデバイスにアプリケーションポリシーを配信し、設定を自動化できる。

IETFに提出し、標準規格を目指すOpFlex

 OpFlex自体はIETFに申請されており、標準化が進行中だという。シスコのAPICやNexus 9000シリーズ、Nexus 1000V、Nexus 7000、ASR、ASA、SourceFireなどでサポートされる予定となっているほか、Ubuntuを手がけるカノニカルやシトリックス、マイクロソフト、レッドハットなどのOSやハイパーバイザーのベンダーがACIポリシーのサポートを表明している。また、シトリックスやF5ネットワークスなどのアプリケーションスイッチ製品にもOpFlexのエージェントが組み込まれる予定となっている。

 また、シスコが開発にコミットしているOpenDaylightプロジェクトでもOpFlexがサポートされる予定。近日リリースされる「Helium」で、ACIの互換性を備えたポリシーモデルが提供される。

 パロンボ氏は、アプリケーションの情報仲介者としてネットワークの価値が高まっていると説明。ACIの早期導入により、ソフトウェアのみのSDNに比べて、TCOを大幅に削減できるとアピールした。

ACIの導入により、既存のSDNよりも高いTCOの削減を実現

InvictaブランドのオールフラッシュアレイがUCSに

 さらにパロンボ氏は、次に今年で5周年を迎えたCisco UCSの実績についても言及した。グローバルでのUCSの顧客は3万社以上に拡大し、サーバーベンダーで5位、x86ブレードサーバー市場のシェアで第2位をキープしていると説明した。業界標準のアーキテクチャを採用しながら、UCSビジネスが成長を続けている背景について、運用や冷却・電力などのコスト、構築のスピード、DRの向上、高速化などを確実に満たしているからと説明した。「もちろん技術面でも自信はあるが、買い手は技術からもたらさせるビジネスの成果を評価している」(パロンボ氏)。

 米国から遅れること3年、日本でもUCSビジネスがようやく本格化しており、UCSを活用したユニークな事例も増えてきたという。シスコシステムズ ユニファイド コンピューティング事業 執行役員 俵雄一氏は、クラウドサービスに採用したNECネッツエスアイ、FTTHサービスの基盤に採用したソネット、電子カルテシステムの仮想化インフラに採用した長野中央病院などのUCS導入事例を紹介した。

シスコシステムズ ユニファイド コンピューティング事業 執行役員 俵雄一氏

 こうしたUCSのポートフォリオにシスコが昨年買収した米Whiptailのオールフラッシュアレイを追加する。「Cisco UCS Invicta」としてCisco UCSに組み込むことで、レスポンスと帯域を重視とするワークロードを大幅に高速化できるという。日本での販売パートナーは9社(4月末時)で、出荷は4月末の予定となっている。

プログラマブルなクラウド向けスイッチも投入

 新製品として、データセンター向けのCisco Nexus 9000シリーズに4スロットモデルの「Nexus 9504」と16スロットモデルの「Nexus 9516」を追加した。同社が推進するACIアーキテクチャーのスパイン・リーフのいずれにも利用できる。電力消費や冷却効率、可用性なども向上し、40GbEや100GbEにも対応する。

最大576ポートの40GbEを搭載可能な高密度スイッチ「Nexus 9516」。60Tbpsのスループットを誇る

 クラウド向けのハイパフォーマンススイッチ「Nexus 3164Q」も新たに投入された。2Uのラックマウントで、最大256ポートの10GbEインターフェイスを搭載。40GbEにも対応する。Cisco 9000シリーズのプログラマビリティに基づき、LinuxコンテナのサポートやXML、JSON、Puppet/Chef、Python、OpenStackなどのツールに対応する。

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