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25年目のCisco Live! テーマは“IoE”と“Fast IT” 第5回

「Cisco Live 2014」基調講演で語られた、IoEの現在と企業のビジネス変革

「IoEは未来ではなく、すでに現実」シスコ・チェンバースCEO

2014年06月04日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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IoEにより「ビジネスが変わった」企業事例が登場

 事例紹介のパートでは、エネルギー企業のロイヤル・ダッチ/シェル、気象情報サービス企業のウェザーカンパニーが登壇し、IoEによって両社のビジネスがどう変わったかが語られた。

 シェルでは新しい天然ガス資源(タイトガス、シェールガス)の開発にあたり、大量のガス井戸と掘削装置(リグ)からリアルタイムデータを収集し、本社で解析を行うことで、掘削業務を大幅に効率化しているという。

ロイヤル・ダッチ/シェル CIOのアラン・マチュラ(Alan Matula)氏。“テクノロジーカンパニー”として、遠隔医療やロボティクス、セキュリティなど異分野ビジネスへの取り組みも考えているという

 シェルのマチュラ氏によれば、同社は自らを「『テクノロジーカンパニー』と見なしている」という。3~4年前から「IoEの時代が到来する」と考え、競合との差異化を図る先進的なテクノロジーの採用と、ビジネスプロセスの変革に取り組んできた。

 先例のない取り組みにおいては失敗もあるが「シェルではトライすることを重視している」(マチュラ氏)。シスコとのパートナーシップとテクノロジーによって、現在ではまったく異なるビジネスモデルが実現できている、と述べた。

 続くウェザーカンパニーの事例では、世界23億カ所の観測ポイントから収集される気象データを気象予測サービスに活用し、気象専門ケーブルテレビ局から「気象ビッグデータ企業」へのビジネス変革が紹介された。

 ウェザーカンパニー CIOのブライソン・コーラー(Bryson Koehler)氏は、「毎日の気象状況は、世界のGDPの3分の1に影響を及ぼす」と述べ、正確な気象予測データの提供が幅広い事業活動と社会生活を支えると説明した。「IoEによって、数年後には当社の気象予測もさらに正確さを増すだろう。IoEの未来にエキサイトしている」(コーラー氏)。

インターネットを上回るインパクト、「共に実行を」

締めくくりとして「可能性を想像しよう」「夢想するだけではなくて、共に実行していこう」とメッセージを残した

 シスコでは、IoEが社会や産業に及ぼすインパクトはインターネット以上のものになると見ている。同社の試算によると、2013~2022年の10年間でIoEがもたらす全世界の経済効果(収益増加とコスト削減)は19兆ドルに及ぶ(ちなみに日本単独では全世界の5%、7610億ドルと試算されている)。

 チェンバース氏は、IoEのインパクトは業種を超えて影響を及ぼし、新たなビジネスや社会変革を創出するだろうと語る。「その可能性に気づくのは、今だ」。

 聴衆に対し、「夢想するだけではなく、共に実行していこう」とメッセージを残して、チェンバース氏は基調講演を締めくくった。

最後は25周年を記念して(?)、25年前に買ったというサングラスをかけ、ダンスを披露したチェンバース氏

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