13年前のXPがデスクトップOSシェア3割を占める
XPサポート終了! パソコンのOSのシェアは?
2014年04月21日 09時00分更新
『そういえば、あの業界のシェアは結局どこが一番多いんだっけ……?』
そんな疑問を抱いたことがあるすべてのビジネスマンに捧ぐ連載。仕事でも利用できる業界ランキングや業界地図を私、高橋暁子が手っ取り早く紹介します。
著者紹介:高橋暁子

ITジャーナリスト、コンサルタント。書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。小学校教員、編集者を経て現在に至る。最新刊『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』の他、『Facebook×Twitterで儲かる会社に変わる本』『図解 一目でわかるITプラットフォーム』(以上、日本実業出版社)、『ネット業界 儲けのカラクリ』(中経出版)など著作多数。http://akiakatsuki.com/ Twitterアカウントは@akiakatsuki
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13年前のXPがシェア3割を占める
4月9日でWindows XPのサポートが終了した。XPと言えば10年以上前のOSだが、まだ利用しているユーザーが多く、移行が進んでいない。
現状のOSのシェアはどうなっているのだろうか。Windows VS MacOS比較の他、Windows内のOSのシェア比率についても見ていこう。
パソコン市場は、1990年代半ばよりWindowsがシェアの大半を占めている。市販されているパソコンの多くがWindowsのインストール済みで、ライセンス費用が製品価格にあらかじめ含まれた状態で販売されていたためだ。
Windows 1.01が出たのは1985年のこと。1990年にはWindows 3.0、1995年には世界的大ヒットとなるWindows 95が出ている。話題のWindows XPが出たのは何と2001年、今から13年も前のことだ。その後、2007年にはWindows Vista、2009年にはWindows 7、2012年にWindows 8、2013年にはWindows 8.1が登場している。
Net Applications発表の2014年3月におけるパソコンのOSシェアを見ていこう。これによると、Windowsが90.94%で圧倒的シェアを占めている。これに対してMacは7.57%、Linuxは1.49%。依然、Windowsはデファクトスタンダードといえる状態だ。
パソコンのOSのバージョン別シェアを見ていくと、Windows 7が48.77%とシェアの約5割を占めてトップ。続いて、なんと今回サポートが終了したWindows XPの27.69%が続く。XPが出た後にも様々なバージョンが出ているにもかかわらず、13年前のXPがパソコンのOSシェアのうち約3割も占めている。
続いてWindows 8の6.41%、Windows 8.1の4.89%、Mac OS X 10.9が3.75%、Windows Vistaが2.99%、Linuxが1.49%、Mac OS X 10.6が1.29%、Mac OS X 10.8が1.18%、Mac OS X 10.7が1.05%などとなっている。
前バージョンであるWindows 7のシェアが高いこと、同時に8への移行が進んでいないことが分かる。その他の古いOSは、その時代に購入したパソコンをまだ利用しているということだろう。
パソコンのOSシェア(2014年3月) | ||
---|---|---|
順位 | OS | シェア |
1 | Windows 7 | 48.77% |
2 | Windows XP | 27.69% |
3 | Windows 8 | 6.41% |
4 | Windows 8.1 | 4.89% |
5 | Mac OS X 10.9 | 3.75% |
6 | Windows Vista | 2.99% |
7 | Linux | 1.49% |
8 | Mac OS X 10.6 | 1.29% |
9 | Mac OS X 10.8 | 1.18% |
10 | Mac OS X 10.7 | 1.05% |
※Net Applications調べ
XPは互換性と低スペックPCでも動くので人気
XPとVistaの比率は約9:1。より古いXPのほうがVistaよりも利用者が9倍も多いという結果が出ている。最新OSである8.1への移行云々以前に、そもそもXPからVistaへの移行が進んでいなかったことが伺える。
日本マイクロソフトの発表によると(2013年4月9日時点)、企業向けPCの3517万台のうち40.3%にあたる1419万台、個人向け4245万台のうち27.7%にあたる1170万台がWindows XP搭載PCだった。移行しない理由は、「Windows XPから移行する必要がないため」(34.9%、複数回答。以下同)、「Windows XPのサポートが終了しても、そのまま問題なく利用できるから」(32.9%)、「Windows XPでないと利用できないシステムがあるので」(28.1%)となっていた。
XPが人気な理由は、新製品やバージョンアップが途絶えてしまったハード/ソフトを使い続けたい人にとっては手放せないOSであること、シンプルで安定しており、低スペックのパソコンでも動くためとされている。
XPのサポートライフサイクルは何度も延長され、他のOSと異なり長期間サポートされ続けてきたが、2014年4月9日でとうとう完全に終了した。サポートが終了すると、セキュリティーリスクを「Windows Update」などによって修正・強化できなくなり、ウイルス感染などの危険性が高まる。しかし、買い換えにかかる費用面やリスクに対する知識の欠如などから、移行は今後も完全には進まないのではないかと見られている。
「MacOS」全般が伸びる傾向
冒頭で、Windowsのシェアが圧倒的という話をした。しかし、Macのシェアも近年伸びてきている。調査会社AsymcoのWindowsとMacの市場シェア比較の推移(2012年7月)から、WindowsとMacの市場シェア争いの歴史を見ていこう。
1990年までPC(WindowsとMS-DOS等も含む)優勢が続いた後、Macの廉価版が出揃ったことで両者の差が一度縮まる。その後、Windows 95の登場で、1995年以降は一気にPCのシェアが伸びる。1999年にカラフルなiMacが出た影響で一時的にMacのシェアが盛り返すが、Windowsの優位は2004年にPCがMacの56倍になるまで続く。
ところが2004年以降、この状況に変化が現われる。MacのプロセッサをPower PCからIntelにスイッチしたことに加え、Mac自体がトレンドになってきたのだ。これには、iPodやiPhoneなどApple社製品がヒットし、これらの機器と相性の良いMacに再びスポットが当たるようになってきたという背景がある。
現時点ではPCとMacの差は約18倍強にまで縮まっている。Macのシェアは、2004年から現在までに3倍以上拡大したのだ。
パソコンではまだWindowsの天下は続きそうだ。しかし、XP以後のバージョンの普及具合や、タブレットやスマホなどモバイル端末の利用が拡大していること考えると、この地位はけして安泰とは言えないだろう。対応ソフトなどを作る企業だけでなく、ユーザーにとっても、今後も両者の争いは注目していきたいところだ。

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