もうBluetoothには戻れない
ボーズにしてもそうですが、実際にネットワーク・オーディオ対応機を使ってみてわかったのは、音楽ライブラリが共有できるiTunesサーバって便利だったんだな、ということです。コンテンツを複数の機器で共有して再生する仕組みはDLNAと同じ、かつプロプライエタリな仕組みなので、設定やそのほかが、非常に分かりやすい。
それにAirPlayは、iOS端末でYouTubeなどのムービーを見る際、Bluetoothと違い、音声の遅延がほとんど生じない。特に楽器を演奏する画面と実際の音がずれない。おまけにiPadやらiPhoneやら、何台も端末を持っている場合、Bluetoothのようにいちいち接続を切ったり、再接続操作をすることなくスピーカーを共有できるわけです。
机に向かってパソコンでradikoを聴きつつ仕事をし、集中力が切れたら寝っ転がってiPadでムービーを観る。こういう日常生活を送る私のような人間には最高のシステムと言えます。これがWindowsやAndroidも含んだ環境なら、さらに利便性を感じるでしょう。ちょっとBluetoothに戻る理由が見つからなくて困っています。
ところで、ボーズはSoundTouch専用にサーバーソフトを提供しています。が、ソニーはしていません。Windows Vista/7/8はDLNAをサポートしているので、その機能を設定して使うようオンラインのヘルプマニュアルで説明されています。
Mac OS XはDLNAをサポートしていないので、そうした説明もありません。要するにiTunesサーバーが使えるのであれば、DLNAサーバーはいらないという話でもあります。そして、iTunesサーバー機能を持ったネットワーク接続ストレージ(NAS)というものも、IO DATAやバッファローから発売されていますので、それを使えばパソコンを起動していなくても音楽ライブラリが共有できる。
そうした本格的なネットワーク・オーディオへの入門機が、このSRS-X7ではないかと思います。AirPlayで直接ストリーミングできるiPhoneやiPadをお持ちの方には、さらによろしいでしょう。むしろ、かくいう私こそが、これで入門したい心境にあると申し上げておきましょう。
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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター、武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。インターネットやデジタル・テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレ。