このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

カルソニックカンセイが語る、グローバル展開を進めるうえでのインフラ要件

海外との自動車部品CADデータ共有にアカマイを採用した理由

2014年03月18日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 アカマイテクノロジーズが2月28日に開催したイベント「Akamai Enterprise Conference 2014」では、実際にアカマイのソリューションを活用している4社が講演し、自社事例を披露した。自動車部品メーカーのカルソニックカンセイでは、多数のグローバル拠点間で設計情報を共有する新システムの基盤に、専用線ではなくインターネットベースのアカマイソリューションを採用した。その理由とは。

「海外拠点での製品開発能力向上」を目指し、情報基盤を統合

カルソニックカンセイ 研究開発センター・本社 グローバルテクノロジー本部 デジタル化推進グループ 部長 四方力氏

 カルソニックカンセイは、1938年設立の大手自動車部品メーカーだ。コックピット(運転席)モジュールや電装部品、空調製品など、多彩な自動車部品を製造しており、同社の四方氏は「“自動車部品の百貨店”のようなメーカー」と表現する。

 自動車メーカーが生産拠点を海外に移しているのと同様に、カルソニックカンセイもグローバル展開を推進している。「毎年のように海外拠点が増えており、特に最近ではインドやブラジルなどのエマージングカントリー(新興国)への拠点進出が加速している」(四方氏)。地域別売上高を見ても、すでに海外が6割、国内が4割と逆転している。

カルソニックカンセイは現在、16カ国に62拠点(関係会社含む)を構える。20社ある顧客の国籍もさまざまだ

10年前(2003年)には売上の6割超を国内が占めていたが、現在(2013年)は海外の売上が6割を占め、比率は逆転している

 こうした環境変化の中、同社でいま急務となっているのは、海外拠点における開発能力向上だ。かつて海外拠点は、日本で開発/設計した製品の生産だけを受け持っていた。だが、経営からは「高付加価値業務(研究や先行開発)へのシフト」が要請されており、その一方で「人件費などの固定費抑制」も求められている。そこで、特にLCC(コスト競争力の高い新興国)における人材活用を支援し、日本と海外拠点とのコラボレーションで開発を進めていくことが重要になっているわけだ。

 そのためには、製品やその構成部品に関するさまざまなデータをタイムリーに日本/海外の拠点間で共有、管理する情報基盤が必要となる。そこで四方氏らはまず、2009年から2012年にかけて、地域や工場ごとにバラバラだった「BOM(部品表、1つの最終製品を作るために必要な部品や数量が網羅されている資料)」の統合や、部品番号の統一をグローバルで実施した。

 「これにより、単一のBOMに基づいて、日本と海外である製品生産の同時立ち上げが可能になった」(四方氏)

(→次ページ、専用線ではなくインターネット+アカマイを選択した理由)

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード