震えて牽引してくれる「ぶるなび」
会場で触ってみて非常に興味を持ったのは「手を引かれる感覚で歩行者を道案内 ~ぶるなび錯覚を用いた屋内歩行ナビゲーション~」だった。「ぶるなび」というと、なんだか某グルメ情報サイトみたいだが、デバイスの振動(ぶる)で持っている人を特定方向に導く(なび)という機能が名前の由来になっている。
研究自体は2007年と少し前から手がけており、初代は前後だけにしかナビできなかったが、2011年には360度に導ける「ぶるなび2」にアップデート(詳細は開発者である雨宮さんのサイトで)。2014年は、大幅に小型化をはたした「ぶるなび3」をお披露目していた。触る前は「ホントにこんな小さいのに引っ張られるのー?」と疑問だったが、意外や意外!! 親指と人差し指でつまむことで、牽引されている感覚がフィードバックされる。
すでに視覚障害者の方と一緒に実証実験をやっており、事前のトレーニングなしで歩行誘導できたという成果も出ている。携帯電話に組み込める技術なので、地図アプリと連動してルート案内するような使い方も期待できそう。機会があったらぜひ触ってほしい。
ウェアラブルや雑談システムなどもっ!
1月30日に東レとNTTで共同発表した新繊維素材「hitoe」も展示していた。裏地にセンサーが仕込まれており、着るだけで心拍・心電の情報を収集できる服になる。従来のスパゲッティーな感じでごちゃごちゃと体のあちこちにケーブルをつながなくても、気軽にモニタリングできるのが大きい。
「コンピュータとの自然な会話を実現する雑談対話技術~雑談対話エンジン~」も興味深いところ。人とコンピューターが対話するシステムはいろいろあって、通常は用件を聞いて話を絞り込んでユーザーの要望を満たすような使われ方をするが、こちらは雑談に特化したシステムで相づちを打ったり、漠然とした提案に答えてくれる。すでに11月からAPIを公開しているそうなので、意外とTwitterのBOTに使われていたりする……かも?
8Kの高精細な映像ソースを地球の裏側であるブラジルから送るという実験が「国際IP網を用いたスーパーハイビジョン 8Kロバスト伝送 ~ブラジル-日本間の長距離 IP 伝送を高信頼に実現する超高臨場感映像配信技術~」。物理的に距離が離れると、データを送っている最中にさまざまな影響でデータが抜け落ちてしまう。8Kというデータ量が多い映像で、それを防ぐ(ロバスト)仕組みを構築して、リアルタイムで見せているのが新しい。ちょっと気が早いですが、東京オリンピックも高精細な映像が送れそう!