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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第226回

GTX 780 Tiの次は? ロードマップでMaxwellの投入時期を予想 

2013年10月28日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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2012~2014年のNVIDIAロードマップ

出荷が公式に伝えられている
「GeForce GTX 780 Ti」

 さて、ここまでがすでに出荷されている製品のアップデートで、ここからが今後の製品ロードマップであるが、実はあまりこちらは情報がない。

 まず1つ明確になっているのが「GeForce GTX 780 Ti」だ。こちらは公式に存在がアナウンスされており(関連リンク)、おそらく11月中の出荷と目されている。これはAMDの「Radeon R9 290X」への対抗製品という位置づけである。

GeForce GTX 780 Ti

 実のところ「Radeon R9 290X」の性能はおおむね「GeForce GTX 780」よりも若干上という程度で、市場に多く出回っているオーバークロック版の「GeForce GTX 780」と大体同程度の性能レンジと考えてよい。

 問題は「Radeon R9 290X」が549ドルという異様に安い価格で投入される予定なことで、これは「GeForce GTX 780」の650ドルと比較して100ドルも安いことになる。

 図を見ていただくとわかるとおり、NVIDIAは普及帯では大体50ドル刻みくらいで製品をラインナップしてるため、これは2グレード異なることになる。NVIDIAで同価格帯の製品を探すと、「GeForce GTX 770」か「GeForce GTX 760 Ti」あたりが該当するが、このあたりの製品とR9 290Xではお話にならないほど性能ギャップが開く。

 これを埋めるには「GeForce GTX 780」をやはり550ドル位に下げれば拮抗することになるが、そうなると当然「GeForce GTX 770」は400ドル位にしないと辻褄があわないし、これ以下の製品全部にも影響してくるから、そうそう価格は下げられない。

 大体500mm2を超える巨大なダイサイズのGK110を搭載していると、これを500ドル台で販売することそのものが真剣に利益率の低下につながってしまうので、NVIDIAにとっても受け入れられない。「GeForce GTX 780」の650ドルという価格は、GK110コアを搭載するカードのほぼ下限に近いと思われる。

GK110(GeForce GTX TITAN)のダイサイズは551平方mmと巨大

 ではここで手をこまねいていられるかというと、そういうわけにもいかないので、価格を据え置いた状態で性能を引き上げる、という対抗策を取ったのが「GeForce GTX 780 Ti」というわけだ。

 元々GK110コアは15 SMXの構成であり、「GeForce GTX Titan」は14SMXを、「GeForce GTX 780」は12 SMXを有効にする形でリリースされていたが、「GeForce GTX 780 Ti」は13 SMXを有効にするという形にするようだ。

 「GeForce GTX 780」が12 SMX構成だったのは歩留まり対策というよりは性能差をつけるためという側面が強く、これを13 SMX構成にしても、製品原価そのものにほとんど影響はないと思われる。

 実のところ14 SMX構成にした「GeForce GTX Titan」と比べても、「GeForce GTX 780」の性能はかなり高い。したがって12 SMXから13 SMXにしたところで、性能面での利得はあまり多くないと思われる。

 これを補うために、多少の動作速度向上と、もしかするとメモリー速度の向上もあるかもしれない。ところが、メモリーベンダーの出すGDDR5チップは、既存の6Gbpsの上は7Gbps品しかなく、今のところ価格もかなり高めに推移しており、現実問題としては6Gbps品のままにするだろうと筆者は見ている。

 あとは13 SMX構成+動作速度向上で、「Radeon R9 290X」との100ドルの価格差を正当化できるほどの性能改善があるかどうか、が「GeForce GTX 780 Ti」のポジションを決めることになるだろう。

 場合によっては、「GeForce GTX 780」で無効化されたDP(Double Precision:倍精度浮動小数点演算)を有効にするといった形での対応もあるかもしれないが、そうなると今度は「GeForce GTX Titan」のポジションが微妙になってくるだけに、実際にそうなるかどうかは断言しにくい。

「GeForce GTX 780」では、「CUDA-Double Precision」の項目が存在しない

 現在筆者が聞いている限りでは、Kepler 2.0世代の製品はほぼこれで打ち止めになるようで、次はTSMCの20nmプロセスを使ったMaxell世代になると思われる。

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