大幅刷新―薄型化と軽量化を果たした「iPad Air」
今回のイベントではMavericksとOS X新製品に多くの時間が割かれていたが、最後はもうひとつの主役ともいえる「iPad」にフォーカスが当てられた。初代iPadが登場する前、「Appleがタブレットを開発している」という噂が長い間流れていたが、実際には賛否両論あり、否定論者は「必要性を感じない」「新しい流れを作るものではない」といった意見が占めていたことをクック氏が指摘。
だが、蓋を開けてみればiPadはiPhoneに次ぐ大ヒット製品となり、PC需要の一部をタブレットに誘導するほどの「タブレットブーム」を巻き起こす原動力となった。仕掛けた側のApple関係者にしてみれば、「どうだ」といわんばかりだろう。
また、タブレットというジャンルが確立されたことで、ユーザーはこれまで想像もしなかったような場面や用途で活用をはじめ、それがさらに市場を広げるという好循環を作り出している。ある意味で、今日のタブレット市場とその用途はユーザーが自ら作り出したトレンドだといえる。単純にPC市場を食ったのではなく、さらに活用範囲を広げ始めたと分析するのが正しいのだろう。ステージ上で流されたビデオ映像では、そうした活用シーンの数々が紹介されている。
こうした状況で登場する新iPadは、奇をてらった刷新よりも、「順当進化」のほうが訴求力が高いのではないだろうか。第3世代でのRetina化以降、やや厚めで重いという状態が続いていたiPadだが、第5世代の新モデルでは本体側面のベゼル部分を薄くするという新デザインを採用。ディスプレーガラスを含む素材の見直しで薄型軽量化を達成し、iPad 2以来の大幅刷新となった。名前も「iPad Air」となり、その薄さと軽さを強調するものになっている。
iPad AirのCM広告。薄さを強調するかのように、鉛筆の影に隠れていたiPad Airを持ち上げる様子と、モバイル用途を想起させるイメージ動画が流れる |
価格はiPad AirのWi-Fi 16GBモデルが5万1800円で、Wi-Fi + Cellularモデルが629ドル(米国)と前モデルから据え置き。iPad 2はWi-Fi 16GBモデルが3万9800円で引き続き販売される。