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「iPad Air」「iPad mini Retina」—Appleスペシャルイベントレポート

2013年10月25日 23時00分更新

文● 鈴木淳也(Junya Suzuki)

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大幅刷新―薄型化と軽量化を果たした「iPad Air」

 今回のイベントではMavericksとOS X新製品に多くの時間が割かれていたが、最後はもうひとつの主役ともいえる「iPad」にフォーカスが当てられた。初代iPadが登場する前、「Appleがタブレットを開発している」という噂が長い間流れていたが、実際には賛否両論あり、否定論者は「必要性を感じない」「新しい流れを作るものではない」といった意見が占めていたことをクック氏が指摘。

話題はメインディッシュであるiPadへ。クック氏は初代iPad登場前にタブレットの可能性について懐疑的な声があったことを紹介しつつ、実際のiPad販売は発売以後順調に伸び続けており、累計1億7000万台の販売台数を達成したことをアピール

 だが、蓋を開けてみればiPadはiPhoneに次ぐ大ヒット製品となり、PC需要の一部をタブレットに誘導するほどの「タブレットブーム」を巻き起こす原動力となった。仕掛けた側のApple関係者にしてみれば、「どうだ」といわんばかりだろう。

Androidといったライバル製品のタブレットが続々登場するなか、iPadの実際の利用シェアがいまだ81%と高水準だとも述べた

 また、タブレットというジャンルが確立されたことで、ユーザーはこれまで想像もしなかったような場面や用途で活用をはじめ、それがさらに市場を広げるという好循環を作り出している。ある意味で、今日のタブレット市場とその用途はユーザーが自ら作り出したトレンドだといえる。単純にPC市場を食ったのではなく、さらに活用範囲を広げ始めたと分析するのが正しいのだろう。ステージ上で流されたビデオ映像では、そうした活用シーンの数々が紹介されている。

こうした業績の伸びはユーザーらの支えによるもの。想定できなかったようなさまざまな利用シーンでiPadは活用され、今もユーザー層は広がり続けている

 こうした状況で登場する新iPadは、奇をてらった刷新よりも、「順当進化」のほうが訴求力が高いのではないだろうか。第3世代でのRetina化以降、やや厚めで重いという状態が続いていたiPadだが、第5世代の新モデルでは本体側面のベゼル部分を薄くするという新デザインを採用。ディスプレーガラスを含む素材の見直しで薄型軽量化を達成し、iPad 2以来の大幅刷新となった。名前も「iPad Air」となり、その薄さと軽さを強調するものになっている。

iPad AirのCM広告。薄さを強調するかのように、鉛筆の影に隠れていたiPad Airを持ち上げる様子と、モバイル用途を想起させるイメージ動画が流れる

過去3年半にわたって登場した4世代のiPad

デザイン的な大きな特徴は、本体左右部分のベゼルが前モデル比で43%薄くなった

ディスプレー部分のガラス素材を含む部品を見直したことで、2割ほど本体の厚みが薄くなっている

重量に関しては、従来の1.4ポンドから1.0ポンドと大台に到達した点をシラー氏は強調する。グラム換算すると1ポンドは約460g(実際のiPad Air Wi-Fiモデルは469g)と味気ないが、米国では大きなアピールポイントだろう

プロセッサーはiPhone 5sと同じA7を採用し、コプロセッサーとしてM7も搭載。これによりCPUとGPUともにパフォーマンスが大幅に向上している

Appleでは、初代モデルと比較してのGPUパフォーマンスの増加率に特に着目してほしいという

MIMOのデュアルアンテナによる高速Wi-Fi通信への対応のほか、対応LTE周波数の増加で世界の数多くのキャリアの1台のデバイスで一度にカバー可能になっている。なお、現時点で図のようにNTTドコモは対応キャリアに含まれていない

その他の基本スペックはほぼ前モデルのそれを踏襲しており、目新しいのはデュアルマイクの部分となっている

本体色はシルバー(ホワイト)とスペースグレイ(ブラック)の2種類

 価格はiPad AirのWi-Fi 16GBモデルが5万1800円で、Wi-Fi + Cellularモデルが629ドル(米国)と前モデルから据え置き。iPad 2はWi-Fi 16GBモデルが3万9800円で引き続き販売される。

価格は16GBのWi-Fiモデルが5万1800円、Wi-Fi + Cellularモデルが629ドル(米国)

発売日は11月1日で、過去最大の規模で全世界市場へと展開されることになる。特に第1グループとして中国が提供地域に含まれるのは初めてだとAppleでは強調する

iPad 2は引き続き3万9800円の価格で廉価版として販売される

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