存在感たっぷりの大きさ! DJユースの重低音スピーカー
パイオニア「S-DJ50X」
パイオニアが9月下旬に発売する「S-DJ50X」(予想実売価格3万2000円前後)は、PC用ではなくどちらかというと、業務用モニターの系統にあるモデル。
そのため、サイズも幅197mmとPCと並べて置くにはちょっと大きい。このくらいのサイズになると、PCを置くテーブルではなく、テーブルの両脇に背の高いスタンドを置いて設置するほうがベターだろう。
型名の通り、DJシーンや、クラブ系音楽の再生を意識したモデルだが、見た目やサイズだけでなく、本格的に業務用アクティブ型スピーカーの技術が盛り込まれている。
丸くくぼんだトゥイーター部は下側に凸形状ディフューザーを設けている。これは、パイオニアの業務用ブランド「TAD」で採用された「DECO技術」を応用したもの。これにより、音の広がりを拡大し、音像定位の向上も果たしている。
パワーアンプにはABクラス動作のアンプをバイアンプ駆動(トゥイーターとウーファーをそれぞれ個別のアンプで駆動すること)で搭載しており、本格的な業務用スピーカー的な内容になっている。
PC用スピーカーとしてはもちろん、一般的なアクティブ型スピーカーとしても意外なのが、左右に独立したアンプを内蔵していること。左右のスピーカーを配線する端子はなく、両方に電源が必要なタイプだ。
接続はRCA端子のほか、バランス入力も備えているので、スタジオ機器やDJ機材との接続にも対応している。
クラブ系のシリーズということで、個性的な音を予想していたが、意外にもモニター的なクセのない音だ。低音はさすがに量感たっぷりで、ロックの曲などを聴くと、ベースがブリブリと鳴るし、ドラムの打音の力強さや重量感も出る。しかし、ダブダブに膨らむようなことはなく、リズムをしっかりと感じ取れるレベルに抑えられおり、重低音好きな人には好ましいバランスと言えるだろう。
クラシックなどを聴くと、オーケストラのスケール感もしっかりと出て堂々とした演奏になる。中高域はヌケがよく音場の再現もなかなか優秀だ。音圧がしっかりと出て反応も良いので、低音のパワーに埋もれてしまようなことがなく、バランスの良い再現になっている。
女性ボーカルは、黒人女性ボーカルの肉付きの良い感じの再現になる。やや太めでグラマラスな感触だ。透き通るような透明感を求める人には合わないかもしれないが、たっぷりとした声量とエネルギー感を感じる再現は多くの人には好感の持てる再現と言える。
全体にたっぷりとした低音と勢いの良いエネルギー感が特徴的で、確かにDJシーンでのサウンドに合うものと思えるが、それでいて業務用モニター的な正確さもきちんと備えており、トータルでのバランスは優秀。クラブ系音楽が好きな人が最適だが、ロックなどをエネルギッシュに聴きたいという人にも合うと思う。
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