
本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。
UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。
ついに一般公開、ウェブアプリ版「iWork」
開発者向けベータテストが続いていたクラウドサービス「iWork for iCloud」が、一般ユーザーにも公開された。サポートされるウェブブラウザはSafari 6.0.3以降、Chrome 27.0.1以降、およびInternet Explorer 9.0.8以降。「www.icloud.com」からApple IDでサインインすると、すべての機能を利用できる。
ただし、あくまでベータ版であり、一部機能に制限はある。かな/漢字の表示やIMEを利用した日本語入力には対応しているものの、ローカライズは未完のためボタン類の表記には英語が残るうえ、デフォルトのフォントセットに含まれる漢字が繁体字に設定されているなど、日本のユーザーには違和感が残る仕上がりとなっている。無料か有料か、いつまで試用できるかといったサービス内容も不明だ。
とはいえ、それをヌキにしても新しいiWork for iCloud(β)にはインパクトがある。編集機能が充実しており、文字入力やコピー&ペーストはもちろんのこと、フォントの変更やサイズ調整、アンドゥ/リドゥや表示倍率の変更、ローカルからの写真の挿入(実質的にアップロード)など、ネイティブアプリケーションのiWorkと比較しても大きく見劣りしない。
操作性も良好だ。ウェブアプリというと、レスポンスの鈍さやWYSWYGにはほど遠い操作性を連想してしまいがちだが、iWork for iCloud(β)の動作は軽快で“引っかかり”を覚える場面は少ない。ローカルのファイルを開くときも、ブラウザウインドウへ書類をドラッグ&ドロップすればいい。
WordやExcelなどMicrosoft Officeの文書との互換性もある。たとえば、Power Pointの書類を読み込みたい場合、Keynoteの画面を開いた状態でPPTファイルをドラッグ&ドロップするだけでOK。アップロードが完了次第コンバートが開始され、終了するとKeynote書類として開くことができる。価格体系は不明だが、iCloudに標準装備のサービスということになれば、既存のオフィススイート製品にも影響が生じるかもしれない。

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