6月18日に政府が発表したところによると、2012年の全国のニートの数は約63万人に上り、年々増えている。ネットで当たり前のように見かけるニートという存在は、リアルな社会でももはや少数派ではなくなっているのだ。就業していない若者=ニートが「会社」を作るというユニークなプロジェクトから、彼らの求める「新しい働き方」を探ってみたい。
内閣府の2013年版「子ども・若者白書」によると、2012年に就職せず、通学や家事もしていない34歳以下の無業者(ニート)は前年より3万人ほど多い約63万人と、統計を開始した1996年以降でもっとも高いという。増え続ける彼らの存在に対して、いま「会社を作ろう」と呼びかける試みがある。
希望者は全員取締役に就任できる、NEET株式会社(仮称)というプロジェクトだ。
事業内容もビジネスモデルも未定。集まったメンバー同士で話し合い、それぞれの得意分野や興味・関心に合わせて試行錯誤していくとして、プロジェクトの方向性は何も決まっていないが、まずは6月11日に説明会イベントを開催したところ、反響を呼んだ。
当初、数十人が集まれば……と思っていたイベントには300名の申し込みがあり(実際に会場に来たのは200名弱)、あわててネットでの中継をしたところ、約3000名ほどの参加者があったという。
当日は、面白法人カヤックの代表取締役、柳澤大輔さんがゲストとして登場、元ワイキューブ代表取締役で現在、中小企業共和国を主宰する安田佳生さんと、プロジェクトのマネージャーである若新雄純さんと一緒に、対談が行われた。
「全員取締役」で「雇われない生き方」を実現
現在すでに475人のエントリーがあるというプロジェクトについて、安田さんと若新さんから話を聞いてみた。
「『ニート』という言葉を前面に出したのは、社会風刺的な言葉を打ち出したいと思ったから。新しい何かを世の中に出すためには、まず世間がネガティブに言っているものを肯定してみようということで、あえてニートを全肯定してみた」と、若新さんは動機を語る。
対象となるニートたちへの呼びかけは、ネット広告費7万円ほどの投資だけですぐにニュースやまとめサイトなどで取り上げられ、ネットで拡散した。意外なことに、ネットならではのネガティブな反応が少なく、「自分たちは間違ってないな」「肯定される存在なんじゃないか」と歓迎する声が多く寄せられたという。