GTX760は冷却システムが命
負ける原因としてもう1つ考えられるのは「GPU BOOST 2.0」の存在だ。GPU BOOST 2.0では駆動電圧を低めにして温度を下げ、下げた分だけブーストの余地を稼ぐというもの。逆にいえば“温度が上がればクロックは上がらない”機能であるともいえるが、GTX760のクロック変動はどうなのだろうか? 「3DMark」の「Fire Strike」テストをループで10分ほど回し続け、その時の温度変化を「HWiNFO64」で追ってみた。
今回テストしたリファレンス版GTX760では、コアクロックは最高1149.7MHzが上限。GPUが休まるPhysics Test(中央の細い山)の直後はほぼ上限に張り付くが、それ以降のテストでは、後半にクロックが落ちていくことがわかる。テストが終わると温度が下がるので、また次のテストの序盤は上限張り付き……というループになるようだ。
つまりGTX760カードは冷却がしっかりしていないと、SPが少ない足かせがさらに重くなる、ということになる。以下に今回使った3枚のカードにおけるGPU温度を比較してみる。システム起動から5分後および「クライシス3」テスト実行中に10分放置した状態の温度を「HWiNFO64」で計測した。
GTX760の温度が高く、後になるほどブーストが抜けやすくのは、リファレンスクーラーの弱さに起因すると考えられる。オーバークロック版GTX660TiはGIGABYTE独自の強化クーラーを搭載し、GTX770のリファレンスクーラーは、GTX TITAN譲りの強力なものだ。冷却力は段違いなのである。
省電力性能は良好
最後に「Watts Up? PRO」を使って消費電力を比較しよう。計測のタイミングは温度計測と同じ。「クライシス3」はマップの同じポイントに放置した状態で計測している。
GTX760はオーバークロック版GTX660Tiよりもやや省電力で、とりわけアイドル時の省電力性に勝る。GTX660Tiはオーバークロックされているため、消費電力が大きいのは当たり前だが、描画性能は(ゲームにもよるが)ほぼ互角なのに、消費電力が少ないというのは1つの魅力。もちろんGTX760のオーバークロック版はこのメリットが打ち消される可能性も大きいため、あくまでリファレンス仕様ではやや省エネ、という理解でいいだろう。
評価が2分するGTX760
今回のGTX760の評価は真っ二つに割れそうだ。ポジティブに捉えるなら「フルHDゲーミングに必要な性能を、妥当な価格でリパッケージしたもの」であるし、ネガティブに捉えるなら「新規性なし。オーバークロック版GTX660Tiで十分」となる。どちらの評価を採用するかは読者諸氏にお任せしたい。
GTX760の評価を下げてしまうのは、SP数1536基のGTX770と、SP数1152基の間には「SP数1344基の新GPU」、すなわち「GeForce GTX 760 Ti」出現の予感がすることだ。ただNVIDIAは、今後GTX670およびGTX660Tiを終息し、GTX760をアッパーミドルに据え、しばらく新GPUは出さないという戦略をとるとみられる。
これが本当なら、「GTX760Ti」に相当するGPUは簡単には出ないことになる(無論AMDの次の一手次第だが……)。そうなると、GTX760は3万円台のミドルレンジGPUとして、新たな定番となるだろう。

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