今後、Feel Logicはどんな進化を果たすのか?
では、Feel Logicは、今後どう進化するのだろうか。
今年から示した、Feel artist、Feel photographer、Feel musician、Feel UXの4つの言葉で示した方向性は、当面変わらないと、河内副所長は語る。
そのなかで河内副所長がこだわっているのは、技術に裏付けされた進化であるということだ。
「コンセプトだけで進化を訴えるのではなく、しっかりと技術とロジックでそれに対応していく。それによって、シャープの開発思想の浸透や、ブランド認知へとつながっていく」とする。
説明書などに記載される機能は、結果として、各社ともそれほど差がない場合が多い。だが、ひとつひとつの技術をみると、そこには大きな差がある。しかし、多くの人はそこまで気がつかず、ブランドが持つイメージだけで、スマートフォンを購入してしまうこともままある。
たとえば、スマートフォンでどのメーカーの製品の音質が良いのかといったことをとらえた場合、まずは自然と、ソニーのスマートフォンがいいのではないかというイメージがあるだろう。それはソニーが長年に渡り、ウォークマンをはじとめするオーディオ分野で高い評価を得ており、その印象がソニーのスマートフォンにも継承されているからだ。実際、ソニーのオーディオへのこだわりは優れている。だが、オーディオにこだっているのはソニーだけではないのは明らかだ。
「シャープは、技術によって裏付けられた進化を遂げていることを地道に訴求していく必要がある。たとえば、音質はスマートフォンではいまや無視ができない機能。他社がブランド認知で先行しているからといって、シャープは、そこをあきらめるのではなく、独自の技術で応えて、満足してもらえるものを提供する」と言い切る。
今年のFeel Logicの進化において、あえて、「Feel musician」を加えたのは、シャープの音質へのこだわりの意思表示だといえる。
一方でシャープが得意とする液晶技術は、同社のスマホの差別化にも寄与するのは明らかだ。IGZOをいち早く採用し、液晶アイドリングストップによって、高精細と長時間駆動を両立しているのは、シャープのスマートフォンの最大の特徴といえる。
このように、Feel Logicによって打ち出すコンセプトは、スマートフォンの同質化競争から脱却するために、シャープならではの回答を明確に示すためのものだといえよう。
5つのめの要素はConnectivity?
そしてその一方で、河内副所長は、「5つめ、6つめの要素が生まれる可能性がある」とする。その最短距離にあるのが、Connectivityだという。
シャープのスマートフォンは、液晶テレビAQUOSやAQUOSブルーレイなどの同社製品と連携するスマートファミリンクのほか、Wi-Fiなどを通じたロボット家電のCOCOROBOとの連携、カシオのG-SHOCKとの連携などの特徴を持つ。こうした機能によってもたらされる新たな利用シーンの世界を、Feel Logicのコンセプトのなかに組み込んでいく可能性があるという。
今後も進化を遂げるシャープ独自の開発コンセプトFeel Logicによって、シャープのスマートフォンはどう進化するのか、そして、シャープのスマートフォンのイメージはどうかわるのか。
キャリアによる機種選定戦略が加速し、同質化競争に陥りやすいというスマホ戦国時代だからこそ、シャープにとって、Feel Logicを打ち出す意義が、ますます重要になってくるといえよう。
そして、それが日本のスマートフォンメーカーが生き残るひとつの道だともいえそうだ。