OS自体の進化に追従するのではなく、シャープとしての道筋を
そして、河内副所長は、こんな言い方もする。
「スマートフォンは、OSの進化などに頼りすぎていると、メーカーとして打ち出さなくてはならないアイデア、技術などによる進化が止まるリスクがある。進化を促し、シャープはどういった進化を遂げていくのかといった姿勢をわかりやすく示すという狙いもある」
シャープが携帯電話事業でこうした「思想」ともいえるものを打ち出したのは初めてのことだ。つまり、シャープは、スマートフォン市場における存在感を発揮するためには、思想が不可欠なものと考えているのだ。
スマートフォンがPC並に多機能化しているのは周知の通りだ。
だが、これだけ多機能化しても、コンセプトや思想を明確に打ち出せないメーカーの製品は、結局は同質化競争のなかに陥ってしまう。逆に、コンセプトや思想を明確にしたメーカーの製品こそが、市場で評価を得ている。アップルのiPhoneはその最たるものだろう。
シャープがスマートフォン市場において、「思想」にこだわるのも、技術的な裏付けを持ちながら、同質化競争から脱皮するという狙いがあるのだ。
昨年まで使っていた言葉は止めた
当初、Feel Logicは、
- 直感的に操作できる「Feel Operation」
- 匠の技で快適性を提供する「Feel Meister」
- 驚きの新体験を提供する「Feel Creation」
という3つのキーワードで表現していた。
「この1年の取り組みで、シャープが目指す方向性やユーザーインターフェースへのこだわりの姿勢を、Feel Logicによって感じてもらえただろう。だがその一方で、これまでの提案で、イメージを感じさせるワードに過ぎず、我々の意図が、ぼやっと感じられる程度でしかない。そこで、今年からよりコンセプトが伝わる言葉に置き換えた」という。
今年のFeel Logicで示したのは、人の記憶に残る美しさを再現する「Feel artist」、写真専門家のノウハウを盛り込んだ「Feel photographer」、こだわりの高音質を長時間楽しむことができる「Feel musician」、五感に訴える直感操作を可能にする「Feel UX」の4つだ。そして、昨年までの3つの言葉は使わないことに決めた。
「映像、カメラ画質、音楽、ユーザーインターフェースという4つの観点にフォーカスし、Feel Logicの開発思想を具現化した。ユーザーがやりたいと思ったことを、説明不要で実現でき、それでいてユーザーの期待を上回るほどの感動を提供できることを目指した。具現化にあたっては、なにがそれを実現する技術なのか、それによってなにが実現されるのかといったことにこだわっている」