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エンタープライズ向けの「Google Cloud Platform」のメリットとは?

今が旬のGoogle App EngineとBigQueryを解剖する

2013年04月30日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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グーグルのエンタープライズ向けサービスというとGoogle Appsがよく知られているが、最近ではインフラ系のクラウドビジネスも強化している。グーグル エンタープライズ部門の塩入賢治氏にエンタープライズ事業の最新動向と昨年発表された「Google BigQuery」について聞いた。

PaaSの先駆者「Google App Engine」の道程

 グーグルは、コンシューマ向け技術をエンタープライズに活かすというテーマで、数年前から数々の企業向けサービスを立ち上げている。オフィススイートやコラボレーションを提供する「Google Apps」に引き続き、2008年に発表された「Google App Engine」では開発プラットフォームを提供してきた。

 Google App Engineは、JavaやPython、Go言語を用いたアプリケーション実行環境をクラウド上で提供するいわゆるPaaS(Platform as a Service)。トラフィックに応じた従量課金制で、負荷にあわせてオートスケールできるのが特徴。そのため、開発者はインフラを意識せずにWebアプリケーションを展開できるのが大きなメリットになる。昨今、PaaS市場も盛り上がってきているが、Google App Engineはその先駆者として、市場を切り開いてきた。

 こうしたPaaSのメリットに気がつき、いち早くGoogle App Engineを導入したのが、サイバーエージェント傘下のゲーム開発会社であるアプリボットだ。ゲームの開発主体でインフラを扱えるエンジニアがいなかったこと、また米国からゲームをリリースするというビジネスモデルの関係上、グローバルでの開発プラットフォームが必要だったという理由でGoogle App Engineを採用したという。

 グーグル エンタープライズ部門 クラウドプラットフォーム セールススペシャリストである塩入賢治氏は、「同社の事業規模が拡大した現在でも、インフラの管理はほとんど必要としないこと。PaaSを使ったことで、スピーディに新規タイトルをリリースされているというお声もいただいています」と述べる。IaaSと違い、インスタンス数の制御も自動化されているため、アクセスが全くなければお金もかからないというメリットもある。

グーグル エンタープライズ部門 クラウドプラットフォーム セールススペシャリスト 塩入賢治氏

 現在、Google App Engineはこのようなゲーム/モバイルアプリケーションでの開発事例のほか、コンシューマー向けWebサイト、あるいはGoogle Appsアドインとなるようなビジネスアプリケーションの開発などに幅広く用いられているという。最近では、特にモバイルデバイスを前提とした拡張が推進されており、「Google App Engineではモバイルクライアントを待ち受けるインターフェイスや、通信を適切に行なうためのクライアント側のライブラリを自動生成してくれます。ローカルのメソッドを呼び出しているような感覚で、ネットワークアプリケーションを開発できるようにする高度なライブラリが続々と追加されています」とのことだ。

IaaSのメリットはやはり自社でのクラウド運用

 こうしたSaaSやPaaS、自動翻訳やデータ分類などを行なうユニークなAPIの提供のほか、昨年から本格的に立ち上げているのが、インフラ基盤そのものの提供だ。

 昨年は、「Google Compute Engine」を6月に発表した。いわゆるAmazon EC2と同様のIaaSで、スケーラビリティ、高い可用性、99.95%のSLAなどを提供するほか、サポートも充実させた。シルバー、ゴールド、プラチナなどのメニューが整備されたほか、1つの契約で全部のサービスのサポートが受けられるようになった。PaaSのGoogle App Engineに比べて、利用範囲が広いのが大きな売りで、「たとえば、PHPやRubyなどGoogle App Engineで対応していない言語で利用したり、Web以外のHPCやバッチ的な用途でも使えます」(塩入氏)という。

グーグルのクラウドポートフォリオ

 現状、GA(General Available)にはなっていないが、ゴールドサポートを使えば全機能を利用できる。また、年内のGAに向け、OSのサポートも次々拡充していく予定だ。さらに、容量無制限で利用できるオブジェクトストレージサービス「Google Cloud Storage」も既に提供している。

 グーグルのクラウドサービスの一番ユニークな点は、やはり自社で使っているという実績であろう。長年に渡ってGoogleのサービスで使っているので、堅牢性や拡張性が優れており、バージョンアップも定期的に行なっている。また、データセンター間の接続も自前で最適化しているので、トラフィックを高速にさばけるという。

アドホックな検索で効果を発揮するGoogle BigQuery

 これらグーグルのクラウドサービスの中で、もっとも最新の取り組みになるのが、昨年5月に発表されたビッグデータ用の高速検索サービスであるGoogle BigQueryだ。

 もともとグーグル社内では、自社が保有する膨大なデータから迅速に情報を引き出す必要性があった。たとえば、「AdWordsのディスプレイ広告のインプレッション数をすぐにほしい」などの広告解析のほか、スパム解析やクラッシュ報告などでもビッグデータの高速な検索が必要である。これを実現するために作られたのが、「Dremel(ドレメル)」という並列クエリシステムだ。そして、このDremelがGoogle BigQueryのプラットフォームになっている。

 Google BigQueryでは、数十億レコードへのクエリを瞬時に返すことができる。こうした高速な検索が可能なのは、カラム型ストレージを採用しているからだ。カラム型データベースでは重複率が高いため、圧縮が効きやすくなる。もちろんグーグルお得意の並列処理と階層構造型のアーキテクチャもパフォーマンスに大きく寄与している。

 逆にカラム型ストレージなので、アップデートやインサートなどの更新ができず、データマイニングなのも不向き。更新され続けているデータに対してバッチ的に検証するような使い方では、HadoopやMapReduceの方が向いているという。一方、Google BigQueryは大量に溜まったログやマシンデータをクエリ条件と演算子で逐一検証していくという使い方になる。そのため向いているのは、仮説検証やログ解析などのアドホックな検索だ。特にモバイルゲームやマシンデータ、流通業の販売データ、広告データなどの解析が想定されているという。

 最新版では、複数のテーブルを統合する新しいジョインの機能が追加された。従来はサイズ制限が設けられていたが、新しいジョインでは扱うデータの制限を取り払われているため、2つのテーブルから単一の結果を生成することが可能になるという。クラウド+ビッグデータの新しい形を提供するGoogle BigQueryは、すでに有効な選択肢へ成長しつつある。

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