Googleコミュニティの2人に聞いたGAEのインパクト
早すぎた本命「Google App Engine」に心を奪われた2人の巻
2015年03月23日 07時00分更新
クラウド界隈の人たちを飯田橋の飲み屋に集めて放談する飯田橋クラウドクラブ(略称:イイクラ)は、いよいよGoogleクラウド編に突入!クラウドの先鞭を付けた通好み過ぎるサービスの魅力とインパクトについてGoogleクラウドコミュニティの2人に聞いてみたぞ。
今回の登場人物
吉積:吉積情報 代表取締役 吉積礼敏。アクセンチュア出身で現在Google専門の開発会社を経営。Google社員以外の⽇本人として初めてGoogle Apps Certified Deployment Specialistを取得。2014年3⽉、日本人として初めてGCPのQualified Developer5種⽬合格。
上田:ソフトウェアエンジニア 上田哲広。Web系の開発でGoogle App Engineを使ったことがきっかけでコミュニティに参加し、現在はGoogle Developers Expertとして活動中。サーバーサイドでGCPやAWSを使っており、最近はAndroidやiOSのアプリも開発している。好きな言語はGoとPython。
得上:オークファンサービス基盤技術部長 得上竜一。新会社に移って、ますます意気盛んなML(Machine Learning)の第一人者。最近はインフラ周りまで任されているらしい。今回はiPhoneでトラブル対応しながらの参加になり、コメント少なめ。
TECH大谷:TECH.ASCII.jpの担当記者 大谷イビサ。今回連載のホスト・執筆者。お酒で舌をなめらかにして、Googleクラウドの話を聞こうとしている。今回はカメラがバッテリ切れ。写真はたまたまあったコンデジです。
高すぎる寿司屋であの人からGoogleの提案を頼まれる
大谷:まずは吉積さんから、会社概要とGoogleクラウドとのなれそめを教えてください。
吉積:吉積情報は今年9年目。最初の3年は中小企業のアウトソーシング、ITのコンサルやプロマネ業をやっていました。そんな中、登場したばかりのGoogle Appsで遊んでいたら、アクセンチュア時代の先輩だった東急ハンズの長谷川秀樹さんからお声掛けいただいんです。
大谷:なるほど。長谷川さんつながりで、Googleだったんですね。
吉積:当時、長谷川さんとは、日本で一番うまい店を探そうという話で、高い寿司屋と天ぷら屋に行きまくってたんです。そんなことをお願いできる人は、あまりいないので。
大谷:確かに(笑)。
吉積:そこでGoogle Appsの提案出して欲しいと言われたので、出したらコンペで通ったという感じです。どうやら一番値段は高かったらしいんですけど、「全部やりますと言うたのはお前だけや」とあとから言われました(笑)。決め手だったのは連絡帳の同期です。
大谷:ハンズさんだったら、けっこうな件数ですよね。
吉積:はい。約3000名なので、900万件くらいの同期。これを100スレッドとかでやってたら、Google側から怒られました(笑)。これが2008年の年末ですね。そこで長谷川さんに脅されて(笑)、Google Enterprise Partnerを取得したんです。翌年にはGoogle Appsの販売代理店、その次にGoogle App Engine(以下、GAE)を扱うようになりました。このGAEが自分にとってめちゃくちゃ衝撃だった。
大谷:どこらへんが衝撃的だったんですか?
吉積:GAEが出た2008年は、インフラだけでウン十億というプロジェクトで、データセンターの選定からやってました。でも、お客が違っても、毎回同じインフラを提案してたんです。ブレードサーバー並べて、アプリケーションサーバーにVMwareを突っ込んで、データベースは商用DBのそこそこいいヤツ。でも、運用監視も、バックアップまで含めて、どこも、まったく同じ。なので、提案書はまるまるコピーで使えるって感じ。
大谷:提案書の宛先だけ間違えないようにしなきゃみたいな(笑)。
吉積:そうそう。正直、これって自分のやっていることに価値があるのかと思ってました。結局、エンタープライズで求められるインフラの要件ってだいたい決まっている。スケーラビリティがあって、セキュアで、データがなくならない。で、これを達成する方法論って、もう確立されているんです。
大谷:確かに大手の事例を見ると、同じような構成が多いですね。
吉積:で、この構成をはるかに巨大な規模で瞬時に使えるのがGAEだったんです。自分で言うのもなんですが、私も当時は月300万円とかでインフラの設計と運営を手がけてきたんです。そんな私がクラウド見て、驚愕した。最初にGAE見た時は、まじかと思いました。
(次ページ、5年後、俺の仕事は確実になくなると思った)
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