このページの本文へ

HPは4つの分野を基軸にソリューションを展開

セキュリティが好調!HPがソフトウェア事業戦略を披露

2013年04月15日 06時00分更新

文● 谷崎朋子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

4月12日、日本ヒューレット・パッカード(HP)はソフトウェア事業戦略について説明を行なった。クラウド、セキュリティ、ビッグデータ、モバイルという、ITに変革をもたらす新たなトレンドに対して、HPは4つの分野を基軸にソリューションを展開していく。

Verticaが年間70%の成長率
ビッグデータは出だし好調

 「IT業界では5~7年に1度、新たなイノベーションが起こる」。そう述べたヒューレット・パッカード カンパニー エグゼクティブ バイスプレジデント HPソフトウェア ジョージ・カディファ氏は、クラウド、セキュリティ、ビッグデータ、モバイルという新トレンドを紹介し、企業はこれらに対応するために既存のビジネスモデルの見直しを迫られていると指摘した。

 HPのソフトウェア事業部では、こうしたニーズを支援するために、ここ数年にわたって大規模な技術投資を実施、「IT運用管理」「セキュリティ」「HP Autonomy」「Vertica」の4つのビジネスグループを設置して製品やソリューションの拡充を図ってきた。

ヒューレット・パッカード カンパニー エグゼクティブ バイスプレジデント HPソフトウェア ジョージ・カディファ氏

 IT運用管理では、運用管理ソフト製品群のツールおよびプラットフォームを、サーバーやシステム中心からユーザー中心へと再構築した。具体的には、モバイルやクラウドへの対応、障害予知や予防対策などを強化し、さらには「誰もが利用しやすい、シンプルな形」(カディファ氏)としてSaaSの提供開始などだ。

 セキュリティでは、アプリケーションのぜい弱性解析製品「HP Fortify」、インシデント収集および分析を行う「HP ArcSight」、IPS製品「HP TippingPoint」など、過去買収してきた各技術および製品を自社技術と統合し、総合的なセキュリティソリューションを構築してきた。

 HP AutonomyとVerticaは、“ヒューマンインフォーメーション”を処理するビッグデータ向けOS「IDOL(Intelligent Data Operating Layer)」の基礎となる製品だ。ヒューマンインフォーメーションとは、TwitterやFacebookの投稿情報、デジタル監視カメラの画像情報、検索エンジンの検索結果な、“人”に関わるすべての非構造化データおよび構造化データを指す。

 カディファ氏は、「今や60秒ごとにヨタバイト(10の24乗)の膨大なヒューマンインフォーメーションが生み出されている」と明かし、これらを高速かつ効率的に事業戦略で活かせる情報へと変えていくことが重要課題と強調した。すでに成功事例もあり、HPグループのオートノミーが提供する多変量テストプラットフォーム「Autonomy Optimost」は、全日本空輸のWebサイトで採用され、「国内線チケットの購買率が30%上昇するという好結果を得ている。

 以上の4つの分野は、有機的に補完し合いながら成長し続けているとカディファ氏は言う。「成長率で見ると、Verticaは年間70%、セキュリティは25%伸びている。他の分野も後に続くと見込まれる」。

日本HPのセキュリティ分野は成長率が前年比倍に

 一方で、今年設立50周年を迎える日本HPでは、「運用管理」「テスト自動化・品質管理」「セキュリティ」「ビッグデータ」に注力しており、日本HP 常務執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川いち朗氏は「一昨年度に引き続き、昨年度も30%近い成長を達成した」と説明した。

日本HP 常務執行役員 HPソフトウェア事業統括 中川いち朗氏

 特にセキュリティは前年比成長率100%となり、グローバル製造業でDoS攻撃や情報漏えい対策としてHP ArcSightが導入されるなど、好調に推移している。このほか、運用管理でも約30%の成長を記録し、4000種類の運用テンプレートを用意して作業フローの効率化を実現する「HP Operations Orchestration」は大規模データセンターの自動化を促進するとして、日本のデータセンターのトップ10のうち5か所で採用、その他DCも検討中という。「(データセンターでは)ほぼデファクトと言って過言ではない」(中川氏)。

日本でのHPソフトウェアの状況

 こうした事業成長の背景には、パートナーの支えがあると両氏は強調する。「今日のHPがあるのは、パートナーとの協業があるからこそ」と述べるカディファ氏に、中川氏は「特に日本ではパートナーとの協業を第一に考えている」と応え、再販モデルだけでなく、パートナーがユーザー企業にサービス提供するSaaSビジネスモデルでより一層のサポートを行ない、協力体制を強化していきたいと述べた。

カテゴリートップへ