このページの本文へ

DevOpsは全体最適化を目指し、サイクルを回せ

OSSとも連携!DevOpsの欠けたピースを埋めるHPの戦略

2015年07月16日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

7月15日、日本ヒューレット・パッカードはDevOpsの最新動向とHPの新戦略に関する記者説明会を開催した。説明会ではHPのソフトウェア事業部が登壇し、現在のDevOpsに欠けている点とHPが提供するツールの関係を説明した。

今、なぜ改めてDevOpsなのか?

 HPのソフトウェア事業部は、ITマネジメント、セキュリティ、ビッグデータ、バックアップなどのソフトウェアを展開。今回のテーマであるDevOps関係の製品やサービスもソフトウェア事業部で展開している。

 では、今なぜ改めてDevOpsか。日本ヒューレット・パッカード 執行役員 HPソフトウェア 事業統括 村瀬将思氏は、市場動向がいち早く変化し、ITとビジネスが切っても切り離せない関係になってきたことでDevOpsの重要性が増していると説明する。「ITにより、UXを向上したり、市場投入までの時間を短縮しなければ、競争力を拡大できない。ITとしてビジネスに貢献できなくなっている」(村瀬氏)。また、ビジネスを支えるアプリケーションが増え、複雑になっていくとともに、更新も頻繁になっている状況もある。IDCの調査によると、2020年には1週間に3回の頻度でアプリケーションのリリースが必要になるという。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 HPソフトウェア 事業統括 村瀬将思氏

 では、DevOpsの現状はどうなっているのか? 本来は短期的に高品質なソフトウェアを頻繁にリリースする必要があるにもかかわらず、あくまで部分最適にとどまっている状況。チームがサイロ化し、プロセスや環境は複雑化。なにより多種多様なツールが使われているため、ドキュメントやバージョン管理などに一貫性がなく、品質やスピード面に課題があるという。

多様な環境とツールにより、個別最適にとどまるDevOpsの現状

DevOpsにプランニングとユーザー体験を追加し、サイクル化

 これに対してエンタープライズでの開発に対応するHPのDevOpsでは「Continious Everything」を掲げ、プランニングとアセスメント、インテグレーションテスト、デリバリとデプロイ、モニタリングと運用などを一連のサイクルとして回せるという。従来の「開発」「テスト」「本番」といったフローに加え、ビジネスプランニングを提供する「計画」と、UXの継続的な改良を実現する「ユーザー体験」というフェーズを加え、短期間でフィードバックをかけることで、開発スピードと品質の担保を両立させる。

プランニングとアセスメント、インテグレーションとテスト、デリバリとデプロイ、モニタリングなどをサイクルとして回るHPのDevOps

 HP DevOpsでは、クラウド型のプランニングツールの「HP PPM on SaaS」やアジャイル開発を実現する「HP Agile Manager」「HP ALM(Application Lifecycle Management)」のほか、「HP UFT(Unified Functional Testing)」「HP Performance Center」をはじめとしたテストツール、継続的なデプロイとデリバリを実現する「HP CODER」や「HP Propel」などを提供。モニタリングには「HP Operation Bridge」や「HP Ops-A」、ユーザー体験や負荷状況をチェックする「HP AppPulse/APM」「Fundex」「CLIP」、アセスメントを可能にする「HP IT Business Analytics」「HP Smart Analytics」などが用意されている。こうした一連のツールにより、テストの効率化、デプロイメントの自動化、仮想化の導入による時間の短縮、収集したデータに基づいた改修やUXの改善、他社ツールやOSSとの連携を実現する

プランニングとアセスメント、インテグレーションとテスト、デリバリとデプロイ、モニタリングなどをサイクルとして回るHPのDevOps

 また、ツールのみならず、DevOpsの運用体制を理解するためのワークショップも提供。その他、プロセスやベストプラクティスの提供、構築・実装、運用サービスなどを提供し、ツールのみでカバーできない領域をカバーしているという。

ソフトウェア定義でテスト環境を作れるCODERや
自動テストツールHP UFTによる効率化

 後半は日本ヒューレット・パッカード HPソフトウェア事業統括 ITマネジメント桑本謙介氏がDevOpsソリューションの例を紹介した。桑本氏は、「エンタープライズで利用するのを前提にDevOpsを展開する。カルチャーや日本の制度にあわせ、ビジネス定義まで含めたライフサイクル全体を捉え、全体最適で進めなければならない」とアピールする。

日本ヒューレット・パッカード HPソフトウェア事業統括 ITマネジメント 桑本謙介氏

 HPのDevOpsの特徴は、他社ツールやOSSとの連携が図られている点。開発で利用するVisual StudioやEclpse、GITやTFS、Subversion、ビルドやデプロイ、ステージングなどを司るJenkins、NexusやChef、vCenterなど、さまざまなツールとHPのソフトウェアがAPI経由で連携し、欠けている機能を埋めることができる。桑本氏は、他社ツールやOSSをメインに据えた開発環境にHPのツールを加えたDevOpsソリューションを紹介し、OpenStackをベースにテスト環境をソフトウェア定義できるCODERや自動テストを実行するHP ALM UFTなどを活用することで、開発、テスト、本番などのフローが最適化されるという事例を披露。実際、OSSをメインに据えたエンタープライズの開発分野に、HPのツールを導入し、より統合されたDevOpsを実現する事例も増えているという。

5つのフェーズでOSSや他社ツールを補い、DevOpsを展開

■関連サイト

カテゴリートップへ