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常見陽平の「ソー活のバカヤロー」 最終回

ソー活と就活の終わらない日常

2013年04月12日 16時00分更新

文● 常見陽平

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いよいよ連載も最終回。ソー活に対する私の疑問をぶつけつつ、ソー活の特徴である「双方向のコミュニケーション」にスポットを当てて議論をまとめたい。ここ数年の、意識の高いソー活をいったん総括しよう(オヤジギャグではない)。


 ソー活の功罪において、功の側面はOB・OG訪問のリストアップがしやすくなったことだ。個人と個人の出会いが促進されることは、間違いなくメリットと言える。ただし、「OB・OG訪問をすればするほど、企業が採りたい人材になれる」というわけではない。

 もちろん人を見る目がない企業や、人を使い捨てにする勢いだけのベンチャー企業には採用されやすいだろう。OB・OG訪問を繰り返している学生はコミュニケーションが上手で、大人を相手に動じなくなるからだ。

 一方で、旧来からの大手企業、外資系のコンサル会社などには内定しにくい。ややドライな言い方だが、彼らは就活において本質的な「地頭力」や「考えぬく力」が弱いのだ。

 実際、ソー活をしまくる学生はベンチャー企業の人事の間で話題にはなるが、たいてい「あの子、勢いはあるし話もうまいけどバカだよね」という結論に落ち着く。

 彼らは社会人に会って「大変勉強になりました」などと言うのだが、社会人から聞いた話の中身を消化できない。優秀な人事は、この部分をちゃんと見ているものなのだ。

 地頭はOB・OG訪問では鍛えられない。ソー活しても無駄なタイプの学生がいることを、頭の片隅に入れておこう。

採用担当者は学生に馴れ馴れしくするな

 ソーシャルメディアは学生/社会人の双方でコミュニケーションのしきい値を下げる。だが、学生の中には「いきなり採用担当者にタメ語で話しかけられて、不快感を抱いた」という感想もある。ソー活において、企業の採用担当者は特にこの点には注意しなければならないだろう。

 実は私自身も、同じような失敗をしている。

 採用担当をしていたころ、私は学生からは熱い採用担当者だと評判だった。一方で、会社説明会のアンケートで「ご自身の想いもいいのですが、もっと詳しく会社説明をしてください」といった声を頂いたこともあった。また、人事部内でも「学生に対してフレンドリーなのは良いことだが、適切な距離を持つように」と言われたこともある。

 この件について「会社は考えが古い」などと言うつもりはない。採用担当者は会社の顔だ。そして多くの学生にとって、初めて会う大人なのだ。だからこそ学生とは適切な距離をとるべきだし、大人の行動をするべきだと思う。

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