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今こそ見直したいバックアップとDR 第4回

バックアップとセットで考えたい災害対策

ストレージとクラウド活用でDRは導入しやすくなる

2013年03月29日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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レプリケーションの低価格化やクラウドをもっと活用

 とはいえ、自然災害は待ってくれない。また、データバックアップを行なっていたことで、業務をいち早く復旧できたという事例が存在するのも事実だ。紛失のリスクと保護の重要性を考慮し、一部のサーバー、一部のデータでも、DRを意識したデータ保護を検討するのが重要であろう。

 最近はBCPや災害対策の再構築が大きなトレンドになったことで、ソリューションの幅が多様化している。DRを意識した製品が増え、中小企業向けのDRソリューションが拡充されてきたので、予算のとれない企業でもスモールスタートできるようになってきた。

 たとえば、バックアップソフトやストレージにおいては、かなり低価格な製品でもレプリケーション機能を標準搭載するようになっている。高価なWAN回線ではなく、インターネットVPNを用いて、定期的にレプリケーションさせれば、安価に遠隔でのデータ同期が可能になる。また、第2回目で説明したとおり、圧縮や重複排除の機能を活用し、データ量自体を削減すれば、バックアップ時間の短縮や回線コストの削減にもつながる。従来であれば、非常に高価なソリューションが安価に実現できるようになったわけだ。

リモートレプリケーションやクラウドの活用

 また、クラウドの活用も進んでおり、バックアップを他拠点やDRサイトではなく、クラウドサービスに保管する「クラウドバックアップ」が現実的なソリューションとなっている。利用する分のみの料金を支払う従量課金制のクラウドサービスを活用すれば、DRサイトのコストをおさえられる。グローバル展開している事業者であれば、海外サイトを用いることも可能で、高いレベルの災害対策を安価に実現できるのがポイントだ。

 最近では、低価格なNASとクラウドバックアップをパッケージ化したソリューションなども増えており、選択の幅が拡がった。バックアップだけではなく、DRまできちんと検討したいユーザーは、こうした製品も検討しておくと良いだろう。

 仮想化技術をDRで活用する手段も一般的になりつつある。サーバー仮想化では、ホストサーバーをまたいで仮想マシンをダイナミックに異動させるライブマイグレーションの機能が標準で利用できるほか、ストレージと連携した遠隔地への仮想マシンの移動も検証が進んでいる。そもそも仮想マシン自体はOSやデータまで含めたイメージファイルとして存在しているため、可搬性も優れている。ネットワーク経由でイメージファイルを遠隔に送信し、仮想マシン上にリストアすれば、物理サーバーの制約を受けることもない。実際、最新のバックアップソフトでは、こうした仮想マシンのバックアップやリカバリを標準でサポートしているので、こうした機能を活用しない手はない。

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