西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第111回
薄さ12.8mm! 13インチ「LaVie Z」よりさらに2mm薄い
15インチでモバイル! 「LaVie X」の薄さに秘められた魅力
2013年03月14日 12時00分更新
発熱はほとんど気にならず、
「短時間でさっと充電」的使い方が推奨か
薄いと気になるのは「発熱」だ。どうしてもボディで放熱する形になりやすく、快適さが損なわれる可能性がある。LaVie XはUltrabookでもあるため、スペック的にもUltrabook準拠である。CPUはIntel Core i7-3537U(クロック周波数2GHz)。パワーとしては十分なところだろう。Windows エクスペリエンスインデックスの値は「5.6」。ボトルネックは他のUltrabookと同様、グラフィックである。CPU・ストレージの値は非常に高く、日常的なビジネス用途のパフォーマンスという点では申し分ない。
やはり問題は発熱だ。確かめてみたが、この点は実に優秀であり、ほとんど気にならない。特に、キーボードやパームレストは発熱が少なく、かなり快適に使えると断言していい。フルパワーで回せば背面の一部が多少熱を持つが、一般的な用途ではまずそこに到達することはなく、快適さが維持される範囲が広いという点も指摘しておきたい。
発熱状況(独自調査/放射温度計による測定。外気温21度の場合) | ||
---|---|---|
― | アイドル時 | フルパワー時 (H.264動画エンコード時) |
底面左側 | 約23度 | 約31度 |
底面中央 | 約30度 | 約38度 |
底面右側 | 約27度 | 約31度 |
表面左側 | 約26度 | 約27度 |
表面右側 | 約26度 | 約28度 |
パームレスト左側 | 約26度 | 約27度 |
パームレスト右側 | 約26度 | 約26度 |
放熱性能が優秀である理由は、このサイズでありながら、内部にファンを2基搭載しているからだろう。軽くすることを考えるとリスクではあるが、より高い性能と快適さの両立を考えてのことだろう。その方針は、15インチというサイズであれば正解だと思う。
これはLaVie Xだけの特徴でなく、NECパーソナルコンピュータのPC全体の特徴となるが、省電力設定のためのソフトウエアが分かりやすくなっているのは美点だ。同種のソフトはNECパーソナルコンピュータだけが提供しているわけではないが、表示の見やすさや設定の分かりやすさの点で、NECパーソナルコンピュータのものはトップクラスだと思う。それがモバイル性能に関与する割合はさほどないが、使い勝手という面ではやはりプラスだ。
少々残念に感じるのは、バッテリー動作時間がさほど長くないということだ。BBenchによるテストでは、動作時間は3時間半から4時間半程度。カタログスペックから見れば妥当な値なのだが、昨今のモバイルノートの動作時間が長くなっていることを思うと、少し物足りない。おそらく、重量軽減と薄さを重視し、バッテリー搭載量を抑えた結果だろう。バランスを考えると、確かに微妙な点ではある。ただ、同社の最近の方針として、LaVie Xも、ACアダプターは小型軽量であり、急速充電もできる。ちょっとした時間で継ぎ足し充電をする、という使い方を推奨していると考えるべきだ。
バッテリー持続時間ベンチマーク(BBench) | |
---|---|
― | 動作時間 |
バランス | 約3時間56分 |
省電力 | 約4時間31分 |
LaVie Xは、とても狙いが明確な製品だ。ここが響く人には、現状唯一無二の価値があると思う。筆者としては、キー配列がどうも好きになれないが、その点が気にならないのであれば、間違いなくお勧めな製品だ。
- お勧めする人
- ・1台ですべての用途をカバーする製品を求めている人
- ・13型では画面が狭いと考えている人
主なスペック | ||
---|---|---|
製品名 | LaVie X | |
型名 | LX850/LS | LX750/LS |
店頭想定価格 | 17万5000円前後 | 16万円前後 |
CPU | Intel Core i7-3537U(2GHz) | |
チップセット | Mobile Intel QS77 Express | |
メインメモリー(最大) | 4GB(4GB) | |
ディスプレー(最大解像度) | 15.6型LED-IPS液晶(1920×1080ドット) | |
グラフィックス機能 | Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵) | |
ストレージ | 約256GB SSD | 約128GB SSD |
光学式ドライブ | ― | |
通信機能 | 無線LAN(IEEE 802.11a/b/g/n)、Wi-FI Direct対応 | |
インターフェース | USB 3.0端子×2、HDMI端子、Bluetooth 4.0+HS、WiDi、92万画素ウェブカメラ | |
カードスロット | SD/SDHC/SDXC対応メモリーカードスロット | |
テレビ機能 | ― | |
サウンド機能 | ステレオスピーカー、ステレオマイク、ヘッドホン/ライン出力 | |
本体サイズ/重量 | 約幅375×奥行き255×高さ12.8mm/約1.59kg | |
バッテリー駆動時間 | 約7時間 | |
オフィスソフト | Microsoft Office Home and Business 2013 | |
OS | Windows 8(64bit) |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
近著に
- 「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)
- 「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)
- 「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)
- 「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)
- 「スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場」(アスキー・メディアワークス)
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