初期入力値の違いでストーリーが様変わりする
ゲーム的なおもしろさ
本作には4つのルートが収録されていて、ルートによってまったく違う物語が展開します。別に、設定を変えていたり、与えられるクリア条件が変わっていたり、登場キャラクターが変わっていたりするわけではありません。ただ、プレイヤーの初期配置がルートによって変わるだけ。たったこれだけで、誰と誰が最初に出会い、チームとなり、殺し合うかがガラっと変わります。
場合によっては、1つ目のルートで大活躍したメイン級のキャラクターが、別のルートでは早急に退場してしまったり、逆に最初のルートではすぐに退場してしまったキャラクターが、他のルートではメインとなる場合もあるんです。映像媒体や小説などではなかなかやりにくい、別の未来、別の可能性が4パターンも描かれるのが、ゲームならではの要素でおもしろさですよね。決められた1つの結末を見せられるより、行きつくグランドエンドはたった1つでも、それまでにいろいろなパターンの物語を見られるのはとても楽しいものです。これも、『シークレットゲーム』の魅力の1つですね!
また、いろいろなパターンがあるストーリー展開の他に、“デスゲーム”の起こりが非常に速いのもポイントです。こういった作品の場合、数時間の間に1人の犠牲者も出ずに進んでしまうと、退屈してしまいがち。しかし『シークレットゲーム』では、10~20分程度で最初の犠牲者が出るので、ゲームにのめり込むまでの時間が非常に短いです。これは、サスペンスもののシナリオとして非常に優秀なことではないでしょうか?
健速氏らしい魅力的な主人公が秀逸
健速氏のシナリオで一貫して言えるのが、登場人物――特に主人公に魅力があることだと、個人的には考えています。本作の主人公である御剣総一(みつるぎ そういち)は、“例え自分が死ぬことになっても、絶対にヒロインを元の日常に帰す”という確固たる目的を持ちつつ、なおかつ“誰も殺さない”という思いのもと、ゲームに参加します。
甘さがあり、病的とも言える思想ではありますが、次第に明かされる彼のバックボーンのおかげで行動原理に説得力が生まれるので、気がつけば彼を応援しているんですよね。ただ単に“ゲーム”に巻き込まれて、なんとなくヒロインに惚れて「絶対に君を守る!」なんて言っちゃう主人公よりも、感情移入しやすい主人公に仕上がっているのではないでしょうか? カッコよくもあり、ヘタレでもあり、強くもあり、弱くもある……人間的な主人公に僕は魅力を感じずにはいられません。
シナリオと密接にかかわる“BETシステム”にも注目!
本作独自のシステム“BETシステム”も、この作品の魅力の1つ。“BETシステム”は、各ルートの生存者を予想してチップを賭ける(BETする)ゲームです。チップは“ゲーム”終了時に“ゴールド”と交換でき、そのゴールドは特典CGやボイスなどを解放させることができます。
一見、“おまけ要素”的なシステムなのですが、実は作品に密接にかかわっていて……と、これは『シークレットゲーム』の根幹にかかわる話なので、あまり詳しく明かせません。ただ言えるのは、『ルートダブル』で見せてくれた、“選択肢ではないシステムと物語の融合”のプロトタイプだということ。何も知らずに進めていると、必ず「うわっ!?」と驚かされ、その意味に感動すると思いますよ!
ぜひ“デスゲームもの”の名作に触れてみてください!
『シークレットゲーム』は、個人的に“デスゲームもの”の中で3本の指には入るゲーム作品だと思っています。このまま隠れているのは非常にもったいないので、ぜひ多くの人に体験してみてほしいです。
最初のほうで言いましたが、3月には、シリーズ最新作となるPSP用ソフト『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』が発売されます。テキストベースで全ルートのシナリオを読んだ限りでは、1作目を超えるシリーズ最高傑作になるだろうと密かに期待しています。電撃オンラインでもガンガン特集していくので、こちらにも、ご注目ください!
(C)FLAT/イエティ/Regista
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