電撃オンラインのゲーム好き編集者が贈るゲームコラム。今回は、“デスゲーム”を描いた隠れた名作『シークレットゲーム -KILLER QUEEN-』の魅力についてお届けします。

著者プロフィール
電撃オンラインで美少女ゲームやアニメ、グッズなどの情報をまとめている裏サイト(?)“G-net”の担当編集・ごえモンです。最近は『機動戦士ガンダムオンライン』に夢中。連邦軍で、敵拠点までたどり着けずにひたすら撃墜されているジムをみかけたら、優しくしてください……。
どうも、ごえモンです。電撃オンラインで実施中の大型読者参加企画“ゲームやろうぜ!キャンペーン”。その特設ページでは、発売日を問わず編集・ライターイチ推しの名作ゲームについて紹介するコラムを、毎月4本くらいお届けしています。
前回の僕のお当番回では、“隠れた名作”と題してS・RPG『ヴィーナス&ブレイブス』についてのコラムをお届けしました。“隠れた名作”というキャッチがよかったのか、これが意外と好評だったので、調子に乗って今回もイチオシの“隠れた名作”を紹介しちゃいます!
紹介するのは、イエティから2008年8月に発売されたPS2用ソフト『シークレットゲーム -KILLER QUEEN-(以下、シークレットゲーム)』のPSP移植作です。アドベンチャーゲーム好きにとっては有名ですが、販売本数から考える世間の認知度的には、本当にもったいないぐらい隠れてしまっている名作なんですよ! そんなわけで今回は、イチから『シークレットゲーム』の魅力についてお伝えしていきます。
大元は2006年に発売され話題となった
同人ゲーム『キラークイーン』
本作は元々、2006年に『キラークイーン』(18禁ゲームなので注意!)というタイトルで発売された同人ゲームでした。後の逆移植版『シークレットゲーム』で商業PC界に進出したブランド・FLATも、元は同人サークルだったんですよね。『キラークイーン』は、『こなたよりかなたまで』や『巫女舞 ~ただ一つの願い~』のシナリオを担当したプロのライター・健速氏(※)を抜擢したこと、また、同人ゲームならではの挑戦的・衝撃的な展開などで話題となりました。僕も当時プレイして、「絶対に商業では発売できないだろうな~」と、そのシナリオ展開に興奮したものです(笑)。
※……後に、『遥かに仰ぎ、麗しの』や『そして明日の世界より――』などの名作タイトルを手掛けた。
そんな『キラークイーン』が、『Ever17 -the out of infinity-』などの“infinityシリーズ”で有名な中澤工さんの手により大幅なリニューアルが施され、2008年にPS2用ソフトとして発売されました。それが、『シークレットゲーム』です。同人版では2本だけだったルートが4本になっていたり、既存ルートの展開とグラフィックが一新されていたり、新システムが導入されていたりと、かなりバージョンアップされています。
同人版、PS2版、PSP版、逆移植PC版といろいろなフォーマットで発売されている本作。個人的には、同人版『キラークイーン』から入って、それからPSPの低価格版でコンシューマ版をプレイし、3月に発売される最新作の『リベリオンズ Secret Game 2nd stage』に入るのが一番キレイかなと思います。1作目は、CS版『シークレットゲーム』だけをプレイしていれば十分ではあるのですが、個人的に『キラークイーン』の2つ目のルートがエグくて大好きだったので、皆さんにもぜひ体験してほしいところです。
生き残りをかけて殺し合う
よくある“デスゲームもの”の中で光る独自設定
『シークレットゲーム』は、何者かに誘拐された13人のキャラクターが、閉鎖空間内で生き残りをかけた殺し合いをさせられるという、“デスゲームもの”の作品です。“デスゲームもの”と言えば、いろいろな媒体で描かれるジャンル。なので、皆さんの人生の中で1度は読んだり、見たり、プレイしたことがあるのではないでしょうか?
そんな数ある“デスゲームもの”の中で、『シークレットゲーム』の魅力だと思える点は、その設定にあると思います。こういった作品の場合、登場人物たちの目的は“最後の1人になるまで生き残る”、“閉鎖空間から脱出する”、“デスゲームの仕掛け人 or 犯人を倒す”などが一般的で、これらを複合させたものも多くあります。
『シークレットゲーム』にも前述した要素が含まれるのですが、13人全員に独自の“目的・クリア条件”が設定されているところが非常におもしろい! クリア条件はそれぞれに配られるPDAに記されているのですが、この設定のおかげで“ただ極限状態に置かれた人間たちの殺し合い”や、スリル、残虐性を楽しむものではなく、“ゲーム内でどんな行動を取るべきなのか?、“どう生きるのか?”という人間ドラマに重きを置いた作品になっています。なので、殺人のトリックや頭脳戦、心理戦などをメインに楽しむような作品とは、少し違った趣があるんです。そこが魅力ですね!
ちなみに、“人間ドラマがメイン”と表現しましたが、かといってゲーム内容や展開は全然ヌルくありません。ゲームのルールを破ったり、クリア条件を満たせなかった時に作動する処刑システムや、全員が違うクリア条件だからこそ生まれる疑心暗鬼、騙し合い、裏切り行為など、“デスゲームもののおもしろさの基本”はしっかりと押さえられています。以下のクリア条件一覧を見れば、いかにゲームが厳しいか、そして、クリア条件によって広がるストーリー展開に期待が持てるはず!
即死級の罠や人の命をもてあそぶような処刑方法など、“デスゲームもの”特有のエグさもしっかり盛り込まれています。ちなみに、同人版ではクリア条件を満たせなかった場合に首輪が爆発しましたが、CS版では処刑システムが作動するように変更されています
【13人に与えられる“ゲーム”のクリア条件一覧】
・AのPDA……QのPDAの所有者を殺害する。手段は問わない。
・2のPDA……JOKERのPDAの破壊。
・3のPDA……3名以上の殺害。首輪の作動は含まない。
・4のPDA……他のプレイヤーの首輪を3つ取得する。手段は問わない。
・5のPDA……館全域にある24個のチェックポイントをすべて通過する。
・6のPDA……JOKERの機能が5回以上使用されている。自分で行う必要はなく、近くで行われる必要もない。
・7のPDA……開始から6時間以降にプレイヤー全員と遭遇。死亡している場合は免除。
・8のPDA……自分のPDAの半径5m以内でPDAを正確に5個破壊する。手段は問わない。
・9のPDA……自分以外の全プレイヤーの死亡。手段は問わない。
・10のPDA……5個の首輪が作動していて、さらに5個目の作動が2日と23時間の時点よりも前で起こっていること。
・JのPDA……ゲームの開始から24時間以上行動をともにした人間が、2日と23時間時点で生存している。
・QのPDA……2日と23時間の生存。
・KのPDA……PDAを5台以上収集する。手段は問わない。

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