2012年8月に公開した激安データSIMについての記事を、新製品情報などを追加するなど、内容をブラッシュアップしたうえで再掲載します。
通信速度が100~200kbps程度に限定されるものの、月1000円を下回る料金で利用できるデータ通信専用の激安SIMが話題になっている。料金・サービスの競争が激しくなっているのが最大の要因だが、どんな環境で使えるのか、どんな製品があるのか、よくわかっていない人も多いはず。
今回はそんな月1000円以下のデータ通信SIMについての基本的な疑問を、Q&A形式で解説する。
Q1 具体的なサービスはどんなものがあるの?
A1 月980円から、さらに下の料金での争いに発展中。サービス内容にもバリエーションが出ている。
まずは下の表を参照いただきたい。
b-mobile スマートSIM 月額定額980 | IIJmio ミニマムスタート128プラン | hi-ho LTE typeD | BB.exciteモバイルLTE 0Mコース |
DTI Servers Man SIM 3G 100 |
楽天ブロードバンド LTE 980円エントリープラン | |
---|---|---|---|---|---|---|
ネットワーク | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | FOMA | Xi/FOMA |
通信速度 | 150kbps | 128kbps | 128kbps | 128kbps | 100kbps |
100kbps (200MBまで75Mbps) |
月額料金 | 980円 | 945円 | 980円(または1万500円/年) | 787円 | 490円 | 980円 |
初期費用 | 3150円 | 3150円 | 3150円 | 4410円 | 3150円 | 4200円※ |
SIMサイズ |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM /nanoSIM |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM |
制限解除 オプション |
525円 /100MB 1800円 /500MB |
525円 /100MB |
472.5円 /100MB |
525円 /100MB 945円 /200MB |
263円 /100MB |
525円 /100MB |
最低 利用期間 |
なし | 2ヵ月 | 1年 | 2ヵ月 | なし | 1ヵ月 |
※:1月17日現在、キャンペーンで3150円となっている。
一番安価なのはDTIの「ServersMan SIM 3G 100」。速度は100kbpsでFOMAのみの対応(Q4で詳述するようにFOMA端末でしか利用できないという制限がある)だが、月490円という料金が魅力。
前回の記事公開後に、新たに登場したのが「楽天ブロードバンド LTE 980円エントリープラン」。月980円という、他社と同レベルの料金でありながら、200MBまでは速度制限なしで利用できるのが、最大のメリット。200MBをオーバーしたのちも100kbps制限で継続して利用でき、速度制限解除オプションも用意されている。競争力は高そうだ。
また、日本通信も従来月980円のSIMはイオン限定だったが、12月に「b-mobile スマートSIM」として、同社直販サイト、Amazon.co.jp、ヨドバシカメラに販路を拡大。速度も150kbpsと若干高速化している(従来は100kbps。イオン向けSIMも同様に高速化した)。
なお、月額料金のほかに契約時に3000~4000円程度の事務手数料が必要となる。これはSIM発行に要するコストなので仕方ないところ。ただ、今回紹介したサービスは2年契約のような長期の“縛り”はないものが多い。この点は携帯キャリアが提供しているサービスに対して、魅力的な要素と言えるだろう。
Q2 100~200kbpsはさすがに遅い。もう少しだけお金を払っていいので、高速にならない?
A2 速度制限解除オプションを各社用意する。2000円前後のプランというチョイスもある。
普段は100~200kbpsの通信速度で利用していても、高速通信が必要な場面もある。そこで各社とも速度制限解除オプションを用意している。100MBあたり525円前後というサービスが多く、Xi対応SIMと端末の組み合わせであれば下り最大75(100)Mbpsでの通信が可能になる(3Gエリアでは下り最大14Mbps)。
ただし、速度制限解除オプションには使い切りタイプと、必要に応じてオン/オフを切り替えられるタイプの2種類がある。前者は、たとえば100MBのオプションを購入後は、100MB分の通信中はずっと速度制限が解除されたままというもの。後者はSNSを使うとき(低速の通信でいい状況)はオフで、ウェブや動画を見るとき(高速の通信が必要な状況)ではオンというふうに、オプションで購入した分のパケットを節約できる。日本通信とDTIのサービスは後者のタイプで、Android用アプリ(DTIはiOS用もあり)から簡単に切り替え可能だ。
また、月額料金が2000~3000円程度になるものの、一定の通信量までは、最初から速度制限が解除されているというタイプのサービスも多い。特に日本通信の「b-mobile スマートSIM」は、前述の「月額定額980」から、1GBまで速度制限無しの「月額定額1980」、2GBまで速度制限なしの「月額定額2980」へのプラン変更が料金月ごとに変更可能なので、特に自由度が高い(BB.exciteモバイルLTEは上位コースにのみ変更可能)。
「楽天ブロードバンド LTE 2980円アクティブプラン」はさらにちょっと変わっており、前日までの3日間で192MBを超える通信をしていると当日は100kbpsに速度制限。翌日はまた直近3日間の通信量で判定されることになる。
b-mobile スマートSIM 月額定額1980 | b-mobile スマートSIM 月額定額2980 | IIJmio ライトスタートプラン | hi-ho LTE typeD 1GB |
BB.exciteモバイルLTE 500M /1GBコース |
楽天ブロードバンド LTE 2980円アクティブプラン | |
---|---|---|---|---|---|---|
ネットワーク | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | |
速度制限無しの通信量 | 1GB | 2GB | 1GB | 1GB |
500MB /1GB |
3日間で192MB |
初期分後の通信速度 | 150kbps | 128kbps | 128kbps | 128kbps | 100kbps | |
月額料金 | 1980円 | 2980円 | 1974円 | 2980円 |
2415円 /2835円 |
2980円 |
初期費用 | 3150円 | 3150円 | 3150円 | 4410円 | 4200円※ | |
SIMサイズ |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM /nanoSIM |
標準 /microSIM ×3 |
標準 /microSIM ×3 |
標準 /microSIM |
|
制限解除 オプション |
525円/100MB 1800円/500MB |
525円 /100MB |
472.5円 /100MB |
525円 /100MB 945円 /200MB |
― | |
最低 利用期間 |
なし | 2ヵ月 | 1年 | 2ヵ月 | 1ヵ月 |
Q3 MVNOとはどういう意味? どうしてこんなに安いの?
A3 自社のネットワークを持たずに、携帯キャリアから回線を借りて提供している。サービス内容を工夫することで料金を安価にしている。
MVNOとは仮想移動体通信事業者とも呼ばれ、他社から携帯電話のネットワークを借り受け、自社ブランドで提供している事業者を指している。MVNOとしてサービスを提供している、代表的な企業として日本通信やIIJが挙げられる。
他社にネットワークを貸している側の携帯事業者としては、UQコミュニケーションズやイー・モバイルなどもあるが、月1000円以下のデータ通信SIMはすべてNTTドコモのネットワークを利用している。
MVNOは帯域単位でネットワークを仕入れ、各社が知恵をこらしたメニューを用意してユーザーに販売することで、元の携帯事業者のサービスにはない独自性とお得感のある料金を実現する。
なお、ドコモのネットワークを利用しているサービスの場合、カバーしているエリアも基本的にドコモと同様。激安SIMといっても、ドコモの全国に広がるサービスエリアで利用できるのは大きなメリットと言える。
