NTTコミュニケーションズが発表した新しいタイプのLTE対応格安データ通信SIM「OCN モバイル エントリーd LTE 980」。ドコモのXi/FOMA網をMVNOで利用しているという点では、他の格安データ通信SIMと同様だが、月980円という料金にも関わらず、1日30MBまでは速度制限がかからずに、LTEの通信が利用できるという点が最大の魅力だ。
月1000円以下の格安データ通信SIMについては、本記事に詳しいが、以下の表のように同価格帯の他のSIMと比較した際に、そのお得さが伝わってくるだろう。筆者も発表当日にAmazon.co.jpで注文したが、microSIM版はすでに品切れ。再入荷分で発送されたので簡単にテストした。
OCN モバイル エントリー d LTE 980 | b-mobile スマートSIM 月額定額980 | IIJmio ミニマムスタートプラン | BB.exciteモバイルLTE 0Mコース |
DTI Servers Man SIM 3G 100 |
楽天ブロードバンド LTE 980円エントリープラン | |
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ネットワーク | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | Xi/FOMA | FOMA | Xi/FOMA |
通信速度 |
100kbps (1日30MBまで制限解除) |
150kbps | 200kbps | 200kbps | 100kbps |
100kbps (200MBまで制限解除) |
月額料金 | 980円 | 980円 | 945円 | 787円 | 490円 | 980円 |
初期費用 | 3150円 | 3150円 | 3150円 | 4410円 | 3150円 | 3150円※ |
SIMサイズ |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM /nanoSIM |
標準 /microSIM /nanoSIM |
標準 /microSIM |
標準 /microSIM |
制限解除 オプション |
なし |
525円 /100MB 1800円 /500MB |
525円 /100MB |
525円 /100MB 945円 /200MB |
263円 /100MB |
525円 /100MB |
最低 利用期間 |
なし | なし | 2ヵ月 | 2ヵ月 | なし | 1ヵ月 |
※4月30日までのキャンペーン価格
3GのみのFOMA端末では現時点では利用できず!
今後対応予定とのこと
【4月22日追加】
OCNは、現在のSIMはそのままで3G端末でも5月23日から利用可能になると発表している。
テスト結果の前に本SIMで注意すべき要素を1つ。それは「現時点ではFOMA端末では利用できない」点だ。ドコモMVNOのデータ通信SIMを使うのに、最も手軽な方法がドコモのスマートフォン/データ通信端末の流用だが、このSIMで利用できるのはXi対応端末だけだ(Xi端末であればFOMAエリアでも利用可能)。他のSIMではこのような制限はあまり見られないため、買い換えで余った古いスマホなどで使おうと考えている人は注意してほしい。
なお、ネット上ではこの点についての不満が多く見られ、OCN側も時期未定ながら、「3G端末でもご利用いただけるように検討を進めております」と告知している。FOMA端末(や3GのみのSIMフリー端末)で利用を考えている人は対応後にあらためて検討するといいだろう。
1日30MBまでなら、やはり高速
制限後の100kbpsの速度をどう判断するか……
さて、スピードテストの結果は以下のとおり。比較対象は、通常のXi契約SIMと、IIJmio「ミニマムスタートプラン」(最大200kbps、月980円)。場所は編集部のある飯田橋で、時間は土曜22時前後(人出は比較的少ない)。
テストに用いたのは「Optiums LTE L-01D」で、Xiのアンテナ表示は4本中4本。3回計測の平均値を求めているが、OCNのSIMは先にウェブブラウザーテストなどをしてからだったせいか、Speedtest.netの2度目のテスト後に速度規制がかかった。
Speedtest.net(飯田橋) | ブラウザー(ASCII.jpトップを表示) | |||
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下り | 上り | |||
OCN | 制限前 | 8932kbps | 3330kbps | 約10秒 |
制限後 | 115kbps | 136kbps | 約38秒 | |
ドコモ Xi | 13479kbps | 3644kbps | 約10秒 | |
IIJmio | 241kbps | 303kbps | 約17秒 |
制限がかかるまえのOCNは9Mbps弱。ドコモSIMとは若干差があるように見えるが、テストのタイミングの可能性もあり、これだけでは判断がつかない。ウェブブラウザーでのテスト結果は大きな差が無かった。1日30MBの範囲であれば、(少なくとも現時点では)LTEならではのスピードを体感できそうだ。
速度制限がかかった後の100kbpsでは、さすがに遅さを感じる。実測では200kbpsオーバーの数字も出たIIJmioとは、実用上は数字以上に差がある印象。特にPC向けウェブサイトを見る場合、IIJmioは多少の我慢すればまずまず使えるレベルだが、OCNは「これはちょっとキツイ……」というのが正直な感想だ。ただ、どちらもLTEエリア内で使う分にはレスポンスはよく、SNSの新着確認では問題なく使えそうだ。
常にそこそこ使えるIIJmioと、1日30MBまではLTEの高速通信を満喫できるが、そのあとは100kbpsになるOCN。単純な比較は難しい。あとは各自の使い方で判断するしかないだろう。