Tegra 4対Snapdragon 800
性能はどちらが優れる?
CESでの発表は、2月にバルセロナで開かれる携帯電話の見本市「MWC 2013」の、前哨戦に過ぎないということだろうか? 例えばTegra 4発表の翌日に開かれたクアルコムの基調講演では、「Snapdragon 800」が発表されたが、「Snapdragon 800はTegra 3よりも速い」と主張していた。
性能面の疑問やクアルコムの主張についてスタム氏にたずねたところ、「Snapdragon 800がSnapdragon S4 Pro比で75%の性能アップなら、まだTegra 4の方が速いだろう」と返答された。Tegra 3からTegra 4で2倍の性能向上を果たしているなら、確かにそのとおりだ。しかし、Tegra 4の性能向上の多くが「GPUの性能6倍」に依存しているとしたら、Snapdragon 800との性能差はアプリや計測条件次第ではないかと思える。いずれにしても、詳しい性能についての情報開示を期待したい。
LTE Category 3/4対応モデムも登場
ハイエンドスマホ向け環境が整う
Tegra 4の大きなトピックに、ソフトモデムチップ「Icera i500」が用意される点がある。Tegraを携帯電話機用SoCとして見た場合、最大の泣き所は携帯電話機に適したモデムがないことだ。NVIDIAはこの分野を自社製品で実現するため、2011年5月に米Icera社を買収した。
とはいえ、Tegra+Iceraのペアがスマートフォンに採用されたのは、2012年2月発表の「ZTE Mimosa X」になってからのこと。しかもこの時点では、3GのHSPA+(28Mbps)のみの対応にとどまっていたため、その後も順調に採用されている……とは言えまい。スタム氏もTegra 3搭載の携帯電話を見せながら「このHTCの携帯電話はTegra 3が採用されていてとても素晴らしいが、モデムチップはクアルコムなんだ」と言う。NVIDIAとしては面白くないだろう。
Icera i500の特徴は、信号処理を専用ハードウェアで行なわず、プロセッサ上で動くソフトウェア処理で行なう点にある。これによって、ハードウェアベースのモデムと比べて、40%のチップ面積を実現できる。しかもソフトウェアベースゆえに、後日のアップデートや新機能の対応も柔軟に行なえる。Icera i500はLTEの「Category 3/4」に対応するので、現在の最新スペックに対応したモデムでもある。
なお、携帯電話用のSoCとして見た場合、Icera i500はTegra 4のパッケージに内蔵されるべきだが、今のところ内蔵化は実現されていない。スタム氏によれば、「パッケージ内に含めるのは、熱の問題と利用者側の問題があり、Tegra 4とセットにしない構成でも提供する」という。モデムチップの統合は、次の世代に持越しとなった。
まさかの直販モデルで
Project SHIELDは北米市場から発売
Tegra 4と同時に発表された、携帯ゲーム機「Project SHIELD」は大きな反響を呼んだ。Tegra 4を使用したAndroidデバイスながら、720pの液晶ディスプレーと据え置きゲーム機風のコントローラーを備えている。
ゲームは既存のAndroid用ゲームが動くだけでなく、クラウドゲーミング環境「GeForce GRID」による、インターネット経由でのストリーミングゲーム、さらに自宅PCからのWindows用ゲームのストリーミングプレイも行なえる(もちろん高性能なGeForce GTX 650以上と相応のCPUなどが必要)。
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